第134話『ミラーハウス』
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状況を理解してませんよ?!」
「悪いが詳しく説明してる時間はねぇ。今からこの現象を引き起こした張本人を探しに行く。無理についてこなくてもいいが、どうする?」
話がまとまり、行動に移そうとする二人に、話に置いてけぼりだった刻が口を挟む。彼女の意見は最もだが、状況を説明するにはまず魔術とは何たるかから解説しなければならない。晴登が先送りにしていた問題がここにきて影響を及ぼすが、残念ながらここでも見送ることになりそうだ。
「い、行きますよ! こんな所で一人きりは嫌ですからね!」
状況を理解していなくても、一応は魔術部の一員だ。彼女にも同行する権利がある。
結局刻は首を縦に振り、一緒に行動することになった。
*
「何か変だぞ」
「確かに、さっきから全然人がいないね」
教室に戻る道中、違和感に気づく。
教室から出た時とは打って変わって、人の数が減っている……というか、もはやいなくなっていたのだ。文化祭で人が多くなっているはずなのに、誰もいない状況なんてありえるのか。まるで神隠しにでも遭った気分だ。
「何ですか! 急にホラーな話はやめてください!」
「別にそんなつもりは……。というか、天野さんホラー苦手なんだ」
「タネのわからないものを怖いと思うのは当然です!」
実に刻らしい理由の弱点。そういえば昨日お化け屋敷に寄った時は、ずっと優菜の袖を掴んでいたんだった。怖いもの知らずに見える彼女にもちゃんと怖いものがあって安心した。
「話を戻すが、これも鏡男の仕業だったりするのか?」
「わからないけど、たぶんそう。急いで戻ろう」
明らかに目に見える異常に胸騒ぎがする。教室に残してきた結月が心配だ。
鏡張りの階段を跳ぶように駆け上がり、距離感のわからない廊下をいくらか走って、ようやく自分達の教室にたどり着く。
「結月! 無事か!」
「ハルト!」
「良かった……」
そこには、結月はもちろん、晴登が出て行く前にいたメンバーは全員揃っていた。
「安心してる場合じゃないよ! さっきまで大変だったんだから!」
「な、何、どうしたの?」
ほっとしたのも束の間、結月の慌てようが気になる。怒っている訳ではないようだが、いつもより真剣な表情だ。
「ハルトが出て行ってからしばらくして、急に鏡の中から人がわーって出てきたんだ! それで、みんなを鏡の中に引きずり込もうとするから、慌てて撃退したんだよ」
「……ちょっと待って、何だって?」
一発で聞き取ることはできたが、理解が追いつかなくて聞き返してしまった。鏡の中から人が……って、一体何を言ってるんだ。
「だから、鏡の
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