第134話『ミラーハウス』
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していた。今更だが、女装のままだったことを思い出す。
「……意外と可愛い、のか?」
現実逃避ついでにせっかくだから自分の姿をよく見てみると、かなり女装のクオリティが高いことがわかる。こうして様々な角度から見せつけられたら、さすがに意識もしてしまう。くるっと回ってポーズなんか決めちゃって、ついには自分から写真を撮ってみようかと思ってしまったところで──
「あれ、部長さんじゃないですか?」
「何してんだお前……」
「うわぁ!? し、伸太郎!? それに天野さんまで!?」
聞き慣れた声と鏡に映ったその姿で誰が来たのかはすぐにわかった。行動が制限されている中で、すぐに仲間と出会えたのは幸運である。タイミングは最悪だが。
「自分に見惚れるのは勝手だが、状況わかってんのか? どう見たって緊急事態だろ」
「誤解だって! さっきまではちゃんと調べてたんだから! 伸太郎こそ、どうして天野さんと一緒に?」
「それは……」
「うちが誘ったからですよ! 午前中に部長さんが言ってたじゃないですか」
「え? あぁ、そういえば……」
刻が言っているのは、午前中の劇後に晴登達と談笑した時のことだ。その中で、晴登が刻のパートナー候補に伸太郎はどうかと提案した件があったのだが、まさかその日のうちに行動に移すとは思ってもいなかった。行動力は大地といい勝負だろう。
「それで、何かわかったのか」
「うん、魔術師が現れた。この目で見たんだ」
「何!? 詳しく聞かせろ」
伸太郎が話を戻したところで、晴登はすぐに知っていることを全て伝えた。
あの仮説を付け加えると、伸太郎はひどく狼狽する。
「……スサノオの襲撃だと!? 冗談言ってる場合じゃねぇぞ」
「俺も嘘であって欲しいよ。でも可能性はある。あとそいつ、ここの生徒だった。上靴を履いてたんだ」
「おいおいおいおい、じゃあ本当にこの学校にスサノオのスパイがいたってことか? しかも魔術師って……クソっ、どうなってやがる!」
黒いフードで上靴を履いていたからといって、それがスサノオのスパイだと決めつけるのは早計だろう。しかし、スサノオのスパイかはさておき、この学校が既に魔術師の手に落ちていることは紛れもない事実。だったら最悪の場合の見積もりをしておいた方が良い。
「伸太郎、どうしようか? 教室に結月を置いてきたから、一度合流したいんだけど」
「そうだな。力づくで解決するにも、結月の力は不可欠だ。できれば黒木先輩や辻先輩もいて欲しいが……それは高望みか。とにかく、一刻も早くその鏡男とやらを見つけないとな」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください! 何か決まったみたいですけど、うちはまだ
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