第134話『ミラーハウス』
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ぎる点とミラーハウスの間取りを知っている点か。
「一旦、人気のない所に……」
廊下にいては埒が明かないので、人混みを掻い潜って廊下の隅に避難する。何とか一人で落ち着ける空間を作った。
「本当に全部鏡なんだな……」
ようやく落ち着いて周りの様子を見てみたが、どこもかしこも鏡、鏡、鏡。この辺には確か窓があったはずだが、それすらも鏡に上書きされてしまっている。
じゃあこの鏡を割れば、外がどうなっているのか見ることができたりするのだろうか。普段なら絶対にやらない不良の行いだが、今が緊急事態であることを免罪符に、ちょっとばかし失礼させてもらう。
「"鎌鼬"!」
周りが誰も見ていないことを確認し、鋭利な風の刃を窓に突き立てる。そして鏡に亀裂が──
「うわぁっ!?」
──入ることはなく、逆に風の刃が飛ぶように弾けたので、びっくりして尻餅をついてしまう。
「は、跳ね返された?」
確かめるために、今度は少し離れた場所から軽く風を放ってみるも、霧散することなく見事に晴登の元にそよ風が届く。
「これ初見だとヤバかったな……」
危うく自分の身体が真っ二つに分断されていたかもしれないという事実に震えつつ、新たな発見をした。
鏡が光を反射する性質を持つというのは言わずもがなだが、例えばこの鏡には『魔術を反射する』という性質があるかもしれない。
「だったら、物理的に……!」
"風の加護"で脚のバネを強化し、思い切り回し蹴りを繰り出してみる。すると今度は確かにひびが入った。
「よし! ……って、あれ?」
ガッツポーズをしたのも束の間、亀裂の入った箇所がみるみる元通りになっていくではないか。もう一度ひびを入れてみるが、結果は同じだった。
「再生ってずるくない?」
どうやらひび程度の損傷ならすぐ元通りになるらしい。ではそれ以上の損傷を与えればどうなるか検証したいところだが、魔術は反射されてしまう上に、人目もあるので晴登にこれ以上の手段はない。
「大人しく他の方法を探すか……」
己の不甲斐なさに肩を落としつつ、晴登は再び駆け出した。
*
人の波に呑まれながらしばらく散策してみたが、わかったことがある。それは、この不思議な現象は学校全体を覆ってしまっているかもしれないということだ。
昇降口や渡り廊下なんかも鏡の壁で封鎖されていたし、屋上に繋がる扉も塞がれていた。つまり、完全に閉じ込められているということだ。
なんてこった。息巻いて教室を出たは良いが、朗報どころか悲報しか見つからない。
どうしたものかと呆然と鏡を見つめると、同じく鏡の向こうの晴登も情けない表情を
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