第八十七部第二章 膠着状態に入りその五十四
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「しっかりとな」
「そうしてるんですね」
「まあ俺達には詳しいことはわからないけれどな」
「兵隊は言われるだけですし」
「だからな」
それでというのだ。
「あまりな」
「よくはですね」
「わからないけれどな」
「実際に俺達ここにいて仕事してますし」
「だからな」
先輩も言った。
「わかるな」
「ええ、バスラはですね」
「これからもな」
「大事な場所ですね」
「オムダーマンにとってな」
「それは変わらないんですね」
「サハラの北の要地らしいからな」
戦略上のそれだというのだ。
「だからな」
「そういうことですね」
「そうさ、それで俺達は午後はな」
先輩は兵士にさらに言った。
「いいな」
「ええ、今は倉庫の物品のチェックで」
「午後はトラックに乗ってな」
そうしてというのだ。
「輸送だ」
「忙しいですね」
「そこからそのものがな」
物品がというのだ。
「アバダンに運ばれるんだよ」
「港からですね」
「そうなるんだよ」
「次から次に」
「ああ、シャトルの方まで運ぶからな」
トラックを使ってというのだ。
「もうトラックへの積み荷は出来てる」
「用意がいいですね」
「それだけアバダンに物資を集めてるってことだ」
「そういうことですね」
「急いでな、それとな」
「それと?」
「あそこのお大尽達だけれどな」
先輩はここで自分達から離れた場所にいる連合軍の将兵達を指差した、見れば彼等は中央政府軍の軍服を着ている。
「ずっとあちこち観て回ってるな」
「ええ、俺達の基地の中を」
「ここ補給基地だけれどな」
「もう軍事機密でないのなら」
「何でも観てるな」
「そうですね」
「連合っていうと金持っててな」
先輩はそのお大尽という自分が出した言葉をさらに言った。
「それでな」
「技術もですよね」
「凄くてな」
「サハラなんか未開の貧乏人達ですよね」
「それでも観る価値あるか?」
「あるんでしょうか」
首を傾げさせてだ、兵士は先輩に応えた。
「連合なんて貧乏人でも俺達よりずっといい暮らしなんですよね」
「サハラの大金持ちよりもな」
「そんなところですよね」
「それで軍艦だってあれだろ」
「滅茶苦茶でかいですね」
「駆逐艦がこっちの戦艦位だぞ」
「でかくて装備もよくて」
それでとだ、兵士も応えた。
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