第二章
[8]前話
「また美味しいんだ、他の料理も」
「じゃあその昔ながらのラーメンを」
「食べよう」
こうした話をしてだった。
店に向かった、長谷川がここだよと言った店の前に来ると。
今風の清潔な感じの店だった、昭和の趣は何処にもなく暖簾も商品サンプルもなかった。それでだった。
長谷川は苦笑いしてだ、土方に言った。
「去年来た時は違ったんだけれどね」
「建て替えたみたいですね」
「そうだね、古いからね」
「地震の耐久年数とかもありますし」
「それでだね」
「建て替えましたね」
「そうだね、まあ味は食べてみたいとわからないし」
その今風の店の前で話した。
「食べようか」
「そうしましょう、部長」
土方は長谷川に応えた、そうしてだった。
店に入ると店も今風だった、清潔で如何にも新築だった。昭和の趣など何処にもなくまさに今であった。
その中で二人でラーメンを注文してそれぞれ食べるとだった。
「味は同じだよ」
「美味しいですね」
「昔ながらの味だね」
「街のラーメン屋ですね」
「うん、店は建て替えても」
そうしてもというのだ。
「味は変わらないよ」
「美味しいままで」
「そうであってよかったよ、入社したての頃に見付けたお店だけれど」
それでもというのだった。
「味は変わっていなくて」
「よかったですね」
「本当にね」
土方に言ってラーメンを食べた、それは本当に美味く食べて満足したのだった。そうして食べ終えて会社に戻ってラーメンで得た英気で意気揚々と働いた。
古いラーメン屋が 完
2024・9・18
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