第一章
[2]次話
ずぶ濡れで駆け込んできて
大学生の早坂陽菜はこの時大学の講義もアルバイトも終わって自分の下宿先のアパートの一室でくつろいでいた。外は大雨だが部屋の中なので平気だった。茶色がかった長い黒髪をブローしていてすっきりした顎と頬それに切れ長の大きな長い睫毛の目と奇麗な眉を持っている。背は一六〇位でスタイルはかなりいい。
だがその時にだ、急にスマートフォンが鳴って出るとだった。
「あんたお外にいるの」
「丁度バイト帰りでね」
同じ大学で同じ学部の友人の鈴木由紀が言って来た。
「その時によ」
「土砂降りに遭って」
「お土産あるから」
それでというのだ。
「ちょっと雨宿りさせて」
「お風呂入る?」
陽菜は由紀に逆にこう言った。
「びしょ濡れなんでしょ、あんた」
「だからなの」
「そう、それならね」
「入っていいの」
「丁度お風呂入れようと思ったところだから」
それでというのだ。
「よかったらね」
「何か悪いわね」
「悪くないわよ、兎に角ね」
「今からなのね」
「うちに来て」
そして雨宿りだけでなく風呂で身体を温めろと言ってだった。
そのうえで由紀を迎え入れることにした、由紀はすぐに来た。すると黒髪をロングにしたやや面長の顔で大きな細い垂れ目で優しい感じの口元の一六四位の背の色白の彼女が入ってきた。見れば膝までのクリーム色の半ズボンで白い半そでシャツの彼女が。
まさに全身ずぶ濡れで入って来た、まるでプールの中に飛び込んだ様であった。
「また随分ね」
「本当に土砂降りだから」
「早く入りなさい」
陽菜は由紀に真顔で告げた。
「いいわね」
「それじゃあお言葉に甘えて」
こう応えてだった。
由紀は陽菜の部屋の風呂に入って身体を温めた、そうして風呂から出た時にリビングにいる陽菜に対して言った。
「有り難う、次あんたね」
「ええ、けれどね」
陽菜はスマートフォンでユーチューブの動画を観ていたが由紀に顔を向けてそのうえで彼女に言った。
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