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ドリトル先生と奇麗な薔薇達
第十一幕その十一
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「幾ら当時形骸化していた国でも」
「実際の領土はオーストリアで」
「神聖ローマ帝国とされたドイツやイタリアの領土の多くは独立状態だったけれど」
「それでもね」
「オーストリアだけでもかなりの大国だったしね」
「それでだよ」
 まさにというのです。
「そうした大国の皇帝ともなると」
「ただその座にあるだけでね」
「かなりの能力が必要だから」
「フランツ=シュテファンさんもだね」
「無能である筈がないね」
「調べたらその通りだよ」
 無能な人ではなかったというのです。
「ちゃんとマリア=テレジアさんを支えてね」
「いいお父さんでね」
「しかも皇帝としての務めを全うした」
「そんな人だったね」
「そうだったんだ、だからね」
 そうした人だったからだというのです。
「評価されるべきだよ、マリア=テレジアさんだけでなくね」
「偉大な女帝に加えて」
「そのご主人も観ることだね」
「そうすべきね」
「この人もいたからこそ」
 マリア=テレジアさんだけでなくというのです。
「当時のオーストリアは繁栄してね」
「ウィーンもだよね」
「帝都として栄えたんだよね」
「そうなったのよね」
「そうだよ、そして薔薇の騎士の舞台にもなったんだ」
 そうでもあるというのです。
「あの時代はね」
「そういうことだね」
「本当にこの人も無視出来ないね」
「当時のオーストリアのことを考えたら」
「とても」
「しかも皆知ってるよね」
 先生は皆に笑ってこうも言いました。
「エンベルグさんはドイツ人、ブラウシュタインさんはオーストリア人で」
「そうそう、神聖ローマ帝国」
「まさにこの国の人達なのよね」
「昔で言うと」
「そうなるのよね」
「そしてベルサイユの薔薇も」
 この作品もというのです。
「マリー=アントワネットさんはね」
「お二人の娘さんなんだよね」
「マリア=テレジアさんとフランツ=シュテファンさんの」
「十六人のお子さんのうちのお一人で」
「フランスに嫁いだのよね」
「そうだよ、フランスはいつもイギリスと衝突していたけれど」 
 先生達の祖国だけでなくというのです。
「さらにだったね」
「そうそう」
「オーストリアともなのよね」
「もっと言えば神聖ローマ帝国とも」
「フランスはいつも戦っていたのよね」
「イギリスとフランスは宿敵関係だったけれど」
 先生は皆にお話しました。
「フランスはさらにね」
「オーストリアともね」
「宿敵関係で」
「大変だったんだよね」
「ハプスブルク家とね」 
 今お話しているこのお家と、というのです。
「フランス王家のヴァロワ家その後のブルボン家は」
「まさに宿敵関係で」
「いつも戦っていたね」
「そうだったわね」
「フラ
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