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ドリトル先生と奇麗な薔薇達
第十一幕その十

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「決して無能な人ではなかったよ」
「確かね」
 ポリネシアが言ってきました。
「財政とか文化は得意だったのよね」
「芸術にも理解があってね」
 それでと言うホワイティでした。
「全くの無能かっていうと」
「違っていて」
 チーチーも言います。
「父親としてもいい人で」
「十六人のお子さんがおられて」
 トートーはお子さん達のお話をしました。
「公平で優しいお父さんだったらしいね」
「マリア=テレジアさんをしっかりと支えた」 
「立派な人よね」
 チープサイドの家族もお話します。
「何も出来ないところか」
「実は結構以上に凄い人だね」
「皇帝の座にあってそこにしっかりいるだけでもね」
 ジップは言いました。
「相当な能力が必要だしね」
「王様だってそうだね」
 ダブダブはここでこんなことを言いました。
「イギリスだってそうだし」
「そうそう、ビクトリア女王もエリザベス二世も」
「今のチャールズ三世陛下もね」
 オシツオサレツは実際のイギリスの女王様達そして今のイギリスの王様のお名前を出してお話をするのでした。
「君臨すれども統治せずっていうけれど」
「君臨するだけでも大変だよ」
「その君臨が出来ていたなら」 
 老馬は言いました。
「充分凄い人だね」
「そうね、マリア=テレジアさんの添えものじゃないわ」
 ガブガブもこのことはわかっています。
「立派なご主人、お父さんで皇帝よ」
「そんなんだ、生前から軽視されることが多かったけれど」
 そうした人でしたがというのです。
「その実はね」
「結構以上にだね」
「出来た人ね」
「そうなんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「この人はね」
「実際皇帝や王様の結婚相手って大変だし」
「そのことだけでも」
「王妃様もそうだし」
「王配様もね」
「イギリス王家だとアルバート公それにエジンベア公だね」
 先生はお二人のお名前を出しました。
「女王陛下のご主人としてね」
「何かと大変だったね」
「女王陛下をお支えして」
「そしてお子さん達の父親でもあられるから」
「かなり大変よ」
「並大抵なことでは務まらないよ」
 先生は言いました。
「王配殿下も。ましてこの人はね」
「只の配慮さんじゃなくて」
「皇帝陛下だからね」
「国王よりも上の」
「その立場だからね」
「王と皇帝は全く違うよ」
 先生は皆にこのこともお話しました。
「皇帝は王を任じることが出来るからね」
「そうだよね」
「日本でも女性の皇族の方を内親王ってお呼びするけれど」
「王、だからね」
「普通に王より上だからね」
 そうした立場だからというのです。
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