第一章
[2]次話
くしゃみは我慢するな
風邪をひいてだ、高校で軽音楽部に所属してベースをやりつつバンド仲間と共にヴォーカルもする深津文江はこの日よくくしゃみをしていた。小柄で切れ長の強い光を持つ目と黒いショートヘアに赤い唇が印象的で均整の取れたスタイルだ。
朝からくしゃみをしていたが同級生でバンドを組んでいるギターの早坂桜黒髪ロングで大きな目の美人の彼女とドラムの渡辺裕子長身で茶色の髪をパーマにしている穏やかな顔でスタイルのいい彼女に言われていた。
「くしゃみ我慢しないでね」
「止めないでね」
こう言われていた。
「それよりも出して」
「衝撃を外に出してね」
「くしゃみの衝撃って強いのよね」
文江はマスクをした状態で応えた。
「そうなのよね」
「そう、結構以上にね」
「だから出た時身体動いたりするしね」
「止めたらそれが鼓膜とかにいって」
「ダメージ受けたりするのよ」
「鼓膜破れるっていうし」
文江は桜と裕子に応えた。
「そうなったらね」
「私達バンドやってるからね」
「やばいわよ」
「そうよね、肺とか肋骨にもいくし」
衝撃がだ。
「そっちに何かあってもね」
「駄目だから」
「出る時は我慢しないでね」
「わかってるわ、ただね」
文江は二人の言葉に頷きつつ言った。
「あまり多いと嫌だし」
「しょっちゅうくしゃみが出たら」
「それだけでね」
「こうした時はあれよね」
「そう、お薬を飲む」
「そうすることよ」
「そうよね、それで朝もお薬飲んできたし」
風邪薬をというのだ。
「お昼も飲むわ、これでも朝起きた時よりずっとましだし」
「お薬効いてきてるわね」
「朝のそれがね」
「ええ、このまま学校では大人しくして」
下手に体力が消耗して風邪が悪化しない様にしてというのだ。
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