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台風の時は出ない
第二章

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「下手に会社に来てもらっても」
「危ないので」
「それでだよ」
 まさにというのだ。
「明日はね」
「会社自体をですね」
「閉めるよ」
 そうするというのだ。
「勿論私もね」
「休まれますね」
「全員ね」
「それでは」
「早速だよ」
 今からというのだ。
「全社員に伝えよう」
「今日休暇の社員にもですね」
「連絡をしてね」
 そうしてというのだ。
「明日はね」
「休んでもらいますね」
「急ぎの仕事があっても」
 それでもというのだ。
「どうしてもというのなら」
「在宅ですね」
「それで働いてもらって」 
 そうしてというのだ。
「やってもらうよ、安全第一で」
「働くべきですね」
「何があっても会社に来いとか」
 内田は有働に苦い顔で話した。
「そうしたことはね」
「言ったら駄目ですね」
「それで何かあったら」
「取り返しがつかないですから」
「何かある前にね」
「しっかりとですね」
「責任者としてだよ」
 即ち支社長としてというのだ。
「決めたよ、それじゃあね」
「明日はですね」
「会社は保美だよ」
 そうすると決めてだった。
 内田は実際に全社員に明日は休む様に会社自体を閉めると告げた。そして彼自身も次の日は会社を休んだが。
 子供達も家にいるのを見てだ、妻に言った。
「電車は何処も停まっていて」
「学校も休校よ」
「そうなってるね」
「暴風域に入っていて」 
 妻は都内がと話した。
「それでこの通りね」
「大雨だね」
「そうよ」
 窓の外は実際にそうなっている、風も強い。
「こんな中で出勤してもね」
「何があってもな」
「おかしくないでしょ」
「電車も停まっていて」
 夫はそれでと話した。
「そのうえで」
「会社に来いとかね」
「車があっても」
「地下鉄もね」 
 都内全域を走るそれがというのだ。
「けれどね」
「本当に何があってもな」
「おかしくないわよ」
「ものが飛んできて」
 そうしてというのだ。
「頭に当たれば」
「そうなったらね」
「そう思うだけで怖いよ」
「だからあなたの判断は正しいわ」
 妻は夫に言った。
「昨日のうちに決めてね」
「それは何よりだよ」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「今の判断は正しくないわね」
 リボングのソファーに座っている夫に話した。
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