邪神ちゃんドロップキック
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?」
「え? そうね……半年くらい前だったかしら?」
「それくらいですの。人間界歴半年ですの。ハーフアニバーサリーですの。周年SS確定ガチャが欲しいですの。ちなみにゆりねはAランクですの」
「あんた日常生活の言動までソシャゲに染まってるじゃないのよ」
ゆりねが肩をがっくり落としているが、構わず邪神ちゃんは大あくびをする。
「ああ……お腹がすきましたの。五時のおやつの時間ですの」
「アンタまた……ちょっと、それお土産で買ってきたものよ」
ゆりねの静止も聞かず、邪神ちゃんは棚からビニール袋を取り出す。中に入っていた饅頭を取り出し、その包を開けた。
「はあ、全く。まだ配り終えていないっていうのに」
「あのお土産……」
「あれ、見滝原のじゃねえな」
ハルトとコウスケは、あんぐりと口を開けて食する邪神ちゃんを見ながら呟いた。彼女の手にある饅頭の包み紙。そこにははっきりと、「北海道」という地名が記載されている。
ため息をついたゆりねは、諦めたように頷いた。
「ええ。あれはこの前、北海道旅行で買ってきたお土産よ。まだ明日に友達へ渡そうと思っていたのだけど」
「……ん? 旅行で買ってきた?」
コウスケはその言葉がブレーキとなり、聞き直す。
「花園。お前、旅行に行ったのか?」
「? ええ。この前ゴールデンウイークで、北海道に行って来たわよ。福引で」
「その邪神ちゃんとやらを召喚した後か?」
「ええ」
「涼しい釧路は最高でしたの」
ケロッとした様子で、邪神ちゃんは答え頭上に放り投げた饅頭を一口で平らげる。
その事実に、ハルトとコウスケは顔を見合わせた。
聖杯戦争。その参加者は、勝てばあらゆる願いを叶える願望器を手に入れることができる。だがその代償として、命かけの参加者同士の戦いに巻き込まれてしまう。
そしてその参加中、参加者は見滝原から出ることはできない。指一本でも見滝原から外に出てしまうと、その時点で参加者は即死してしまう。実際にハルトは目の前で、参加者が見滝原の外へ放り投げられて命を落とす一部始終を目撃している。
「花園さん。手を出してくれないかな?」
「何よ突然」
ゆりねは目を細めながら、言われた通り両手を差し出す。
彼女の手は、果たして何を行ったのか、ところどころに生傷が残っている。またネイルなどの化粧はしていないが、代わりにインクで描かれた跡が白い肌を彩っている。
だが、ハルトが探していたもの……令呪はどこにも刻まれていなかった。
「これは……」
「魔力は多いけど、マスターにはならなかった、てことか?」
「そうなるね……花園さん」
ハルトは手から目を離し、ゆりねへ向き直る。
「邪神ちゃん以外に、最近変わったことってないか
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