邪神ちゃんドロップキック
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ってしまった邪神ちゃんをしり目に、ゆりねは伸びをする。やがて、倒れ込んだままのハルトを助け起こした。
「ん……っ! 悪かったわね。驚かせて」
「驚かせたってどころじゃないでしょ……アレ……」
ハルトは、無残に切り刻まれた邪神ちゃんを指差す。
だがハルトが瞬きをする間に、ズタズタにされたはずの邪神ちゃんは、何事もなかったかのように「あー」と声を上げていた。
「え!?」
「再生してる!?」
驚く二人。邪神ちゃんは部屋の隅で固まっている祐太と香子を脅かすように「バァ!」と両腕を上げる。より大きな悲鳴を上げる二人を見てケラケラと笑う邪神ちゃんを、ゆりねがチョップでたしなめている。
「しかも、もはや慣れたような動き……ねえ、邪神ちゃん……だったっけ?」
ハルトが話しかけると、邪神ちゃんは不機嫌そうな顔で振り向いた。
「ん? 何ですの? ゆりねの身代わり一号」
「二号以上がいてたまるか……何でいきなり攻撃してきたのさ。それに、本来の目的は俺じゃなくてゆりねちゃんのようだったけど」
「当然ですの」
邪神ちゃんは鼻を鳴らす。
「わたくし、ゆりねに召喚された悪魔ですの。で、召喚者であるゆりねを始末しない限り、元の魔界に帰れませんの」
「召喚された……!?」
「ってことは、この邪神ちゃんがサーヴァント!?」
ハルトとコウスケは、ともに目を見張る。共に邪神ちゃんに背を向け、肩を合わせる。
「この回復力……確かに、サーヴァントとしてはあり得そうな能力だな」
「フロストノヴァのマスターを探していたけど、別の参加者を見つけたってことか。まあ、怪我の功名かな。敵意は……少なくとも俺たちには、ない? のかな?」
むしろ、マスターであるゆりねへの敵意が大きいように見える。
さきほどまで殺意の交換をしていたとは思えないほど、ゆりねと邪神ちゃんは夕食について話を始めている。
二人の様子を肩越しに見て、再びハルトはコウスケと額を合わせた。
「そう言えば、マスターを殺せば帰れるとか言ってたけど……聖杯戦争にそんなルールあったかな?」
「聞いた覚えがねえな。それとももしかしたら、そういう特別なルールがあるのかもしれねえ」
「でも、以前ブラジラがバングレイを倒した時は、アイツはそのままこの世界にいたよ? 自分の意思でこの世界に残った可能性もあるけど……」
「な、なあ二人とも」
そうこう間に、祐太がおそるおそる話しかけてきた。
「何か、予想外のことがあるんだけど、あの女の子……悪魔って実在するんだな」
「そうだね。俺も驚いているよ」
なるべく動揺しているように声を震わせながら、ハルトは答えた。
「……ゆりねさん、邪神ちゃんを召喚したのはいつ頃なの
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