第二章
[8]前話
「接しないと駄目ですね」
「そうだよ、それじゃあね」
「はい、真面目にです」
「やっていこうね」
「そうしましょう」
こう話してだった。
子供達を優しくバスから出して幼稚園に入れた、その間もベンツをちらちらと見たがそこにやって来たのは。
「あの人サッカー選手の」
「ああ、ジェイリーグもね」
「そういえば」
大西はここであることを思い出して言った。
「ここチームの地元でしたね」
「あの人のいるね」
「そうでしたね」
「それであの人結婚して」
「お子さんおられたんですね」
「そうだよ、結婚したことは知っていても」
「お子さんおられたんですね」
大西は今知ったという顔で言った、実際に今知ったばかりだ。
「そうだったんですね」
「この幼稚園に通っていたんだね」
「そうですね、あの人は知ってますけれど」
その選手はというのだ。見ればラフな普段着で明るい表情をしている。
「お子さんこっちだったんですね」
「そうだね、サッカー選手ならね」
「いいですね、ヤクザ屋さんでなくても」
先程相模と話した昔のベンツのイメージから話した。
「それでも悪い人かもって思って」
「警戒したけれど」
「サッカー選手ならいいですね」
「お仕事としてはね」
「あの人真面目って評判ですし」
今度はその人自身の話をした。
「ですから」
「いいね」
「はい、いや高級車を見ると」
そうすると、というのだった。
「お金持ちでも」
「どんな人か気になるね」
「怖い人とか悪い人なら」
「そうしてお金持ってるとね」
「危ない人なので」
だからだというのだ。
「近寄りたくないですが」
「それでもね」
「しっかり働いている人なら」
「いいよね」
「そうですよね」
「今はベンツでもね」
笑って言うのだった。
「ヤクザ屋さんの確率減ったしね」
「ヤクザ屋さん自体減ってるそうで」
「そうみたいだしね」
「昔よりは安心していいですね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「お子さんを送り迎えしているなら」
「何も言うことないですね」
「そうだよ」
相模は笑顔のままだった、そしてだった。
大西は幼稚園の先生の仕事に入った、だがその中で。
ふとだ、同僚の先生にこんなことを言った。
「私もベンツ乗りたいですね」
「ベンツですか」
「お金持ちになって」
「そうしたいですか」
「はい、ちらっと思いました」
朝に見たその車を思い出して言うのだった、そして帰りは軽四で家に戻ったが軽四の快適さに満足もしていた。
幼稚園に来た高級車 完
2024・9・16
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