6.降谷さんの激昂──phase:K.H.
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める。
しかし頭に乗せられた手はこれまでみたいにただ髪を撫でてくれるだけで。
けれど。
「……お前無茶するのはどうせやめないんだろう。覚悟しておけよ。しっかり無茶できるくらい身体鍛えてやるからな」
手は優しいのに言ってることが怖いです。
でも、それは、挑戦したいことなんです。
「よろしくお願いします」
萩原さんも降谷さんも目を丸くしていた。
そしてふっと笑う。
視線がこそばゆい。
降谷さんがむき終わったリンゴを二つのせた小皿を、オーバーテーブルに置いている。
うさぎさんである。かわいいことしてくださいますね。
萩原さんに手渡したほうはうさぎになってなかった。なんてことでしょう。
「しかし……犯人のひとりは未だ逃亡中らしい。悔しい限りだ」
「もうひとりは捕まったんですか?」
やっぱり原作通りの事故死なのかな。
「確保を焦ったせいで死なせたそうだ」
「……」
私は眉根を寄せて俯いた。
そっかあ……だめだったかあ……。まあタイマー動き出した時点でそうかもって思いはしたけれど……。
一週間以上経って音沙汰がないってことは、暴走してるわけじゃないって思ってもいいのかな?
と、しょんぼりしたり不安に思ったりしていると、今度はすぱーんと病室の扉が開いた。
「こら松田……! 病院だぞ」
「……うるせえ」
ああ。
松田さんをたしなめているのは伊達さんで。
てことはつまり不機嫌そうに見える天パのかたが松田さんで。
その後ろで諸伏さんが苦笑いしている。
五人、そろっている。
「お前が櫛森。ハギが世話になった。……本当、死にたがりなんて助けやがって」
「し、死にたがり」
たじたじとなってしまう。
防爆スーツもヘルメットも、大事ではあるんだろうけど、でも……。
萩原さんもしゅーんとしてしまっている。
けれど松田さんはそれから少し近寄ってきて、ベッドの私に視線を合わせて背中を丸めてくれて、それで。
「……ありがとうな」
少し眉の下がった不敵な笑顔でそう言ってくれた。
私はぽかんとしてから、苦笑いする。
私そんなふうに言ってもらっちゃだめなんだよ。本当はもっと安全な手段があったんだ。
かわりに犯人が暴走するかもしれなかったとはいえ、それはあくまでももしかしたらなんだから……。
変な顔をしているだろう私に松田さんは苦笑して、普通の姿勢に戻った。
にしても。
ああ本当、本当、皆ここに、いる。
まぶしいなあ。
でも。
「あの、ゼロさん、ヒロさん……こんなに皆さん集まっちゃって大丈夫なんですか? 明かしちゃいけない、って……」
「非常事態だからな
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