6.降谷さんの激昂──phase:K.H.
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リンゴの皮をむきながら、はぁぁぁ、と降谷さんがものすごく大きなため息をついた。
私はふっと苦笑する。
「……甘く見ていたのは事実です。もし爆発したとして、もっと安全に防げると思っていました」
「……爆発する想定はあったのか」
「可能性は色々考えておくものでしょう?」
降谷さんは溜め息をつく。
「というかあのですね、私に『視える』のは過去だけです。未来のことは、分かりません。分かっても今回みたいななんとなく不安、という程度です」
降谷さんの眉間の皺が深まる。
まあそのなんとなく不安っていうのも前世(以下略)で、能力で視ているわけではないのですけれど。
「……今度こんな危ない目に遭ったら、協力者を解任するからな」
「……っえ、ということは今、ゼロさんの『協力者』として認めてもらえてるんですか?」
「お前案外ポジティブだな」
また降谷さんがため息をついた。ふふっと笑ってしまう。
ああ、生きて帰れてよかった。
ため息をつかれて安心してるなんて言ったらきっと怒られるけど、でも、帰って来たんだって、思えるのです。
と、噛みしめていると。
病室のドアがそろりそろりとあいた。
何だろう、なんでそんなにゆっくりなのかな。
首をかしげていると、ドアの隙間からおずおずと人の顔が見えた。
ああ、萩原さんだ。
生きてる。
生きてる。
ガーゼとか、絆創膏とか、その他もろもろくっついておられるけど……。
……生きてる……!!!
萩原さんは私と目が合うと、何とも言えない顔をして──くしゃりと顔を崩して泣き始めてしまった。
「……萩原。そんなところで突っ立ってないで入れ」
「……うん……っ」
私は意外な思いで降谷さんを見上げる。
「話しちゃったんですか?」
「……お前が送って来たんだろう、反省させてあげましょう、って」
私は思わず咽た。
「でも改めて考えたら、あれから更に防護服を着ていたら、萩原さんは倒れちゃったんじゃないでしょうか」
「汀ちゃん……! いい子……!」
わあ、私までちゃんづけで呼んでくださるなんて……こそばゆいです。
けどいい子じゃないよ、悪い子だったおかげで降谷さんに出会ったんだから。
「私がLINEであんなの送ったせいで、ゼロさんに怒られてたらすみません」
「あはは……実は……殴られ、た」
「えっ……ご、ごめんなさい」
あ、あわわ。
「萩原さんはなにも悪くないです。色々重なっちゃっただけで……」
「分かっては、いるつもりだ。しかし……こいつが誰も彼もに心配をかけたのは事実。そしてそれはお前もだ、汀」
「ウッ……!」
私も、殴られるのかな……!?
思わず身を縮
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