6.降谷さんの激昂──phase:K.H.
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科学器に関しては多分、複数か単数か、自分のみにしかかからないか、味方全体にかかるか、そういうのはゲームの情報はあてにならないんだと思う。試せる時に色々ためしたいものですね。
「住民の避難、完了しました!」
「りょーかい! んじゃまぁ、ゆるゆるといきますか」
「もうちょっと休んで防爆スーツ着たほうが良くないか?」
「タイマー止まってるんだから大丈夫ですって。……こっちが要求飲んだから、再起動はないでしょう」
「にしてもなあ……」
「ていうかもう今日は着てられないです。あんな暑いの。それでもやらないわけにいかないからさ」
「……交代してやれなくてすまん」
「人手不足は先輩のせいじゃないでしょ」
「……構造、教えてくれないか」
「え?」
「少しでも手伝えるようになりたい」
「あは、了解です」
斯くして防爆スーツもヘルメットも付け直さない萩原さんでした。でも私は責めきれないよ……。
そしてひとつひとつ説明しながら解体を進める萩原さんの声に、ピリリリという着信音が重なる。
ああ、松田さんが、この第二現場についたのか。
そしたら、そろそろだね。
姿を消す《 バニッシュ 》を更新しつつ、私は萩原さんに近づいた。
あらかじめ考えておいた文章を、降谷さんと諸伏さんのグループに打ち込んでいく。
嘘がいっぱいだからやっぱり少し気が滅入るけれど、世間に隠されたら、意味がないから。
犯人に、被害は少なくないと思わせないと、この一件で、ほんの少しでも満足させないと。萩原さんの殉職に匹敵するような情報にはなれないけれど、それでも、少しだけでも。
萩原さんを無傷で助けようとしてなくてごめんなさい。
自分も怪我する前提で、ごめんなさい。
『……おい、汀』
インカムから降谷さんの怖い声が聞こえた。
ごめんなさい。
あとでたくさん怒られるから。
そして。
『馬鹿野郎!!! 死にてえのか!!!!』
結構近くにいるとはいえ、電話の向こうの松田さんの怒りの声が私にまで聞こえる。
そりゃ怒るよね、ともだちだもの。
けれどこれが聞こえたってことは。
私は萩原さんに投げつけるための《 防御強化 》の魔土器を握り締めた。
走り出すために少し重心を下げる。《 スプリント 》使用。
タイミングよくウネちゃん(周りには見えないみたい)が《 ストンスキン 》をかけ直していたけど、そんなに長居するつもりはないんだ。
「……なにっ」
今だ。
「皆、逃げろ!!!」
多分、一人爆弾と向き合って座ってたのと、これを伝えてから逃げたから、萩原さんは他の人より遅くなってしまったのでしょう。
私は萩原さんに追いすがって彼の背に魔土器を叩きつける。こんな
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