6.降谷さんの激昂──phase:K.H.
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申し訳ないけど、爆発自体は防がない。
これは単なる私のエゴだ。萩原さんの命を優先します。天秤には私情しかない。
爆発自体は防がないでおけば、犯人の激情を少しだけ抑えられるんじゃないかと思うのです。
あの犯人のことだから、頭に血が昇ったら、物語上存在しない爆弾事件を次々に起こされるかもしれない。それで多くの犠牲が出るかもしれない。
だから、爆発させた上で萩原さんを助ける。
けど多分こんなの、降谷さんにも諸伏さんにも怒られると思う。
先に謝っておきます、ごめんなさい。
文字を打つことが松田さんみたいに速くない私は、先に文章を作っておいた。
一気に長文を送れば最初から決めてただろうときっと怒られる。こういうのを送ると決めるだけだけれど、それでも全然違うはず。
-『嫌な予感がします。
お手数をおかけしますが、もし私が救出とかされたら、
一般人が巻き込まれた感じの不自然ではない情報を作ってください。
全部終わったら、萩原さんが防護服を着てなかったのを反省させてあげましょう。』
萩原さんが防護服を着ていなかった理由は、私はよく知らない。
側でたたまれてたよね(私はそれを覚えてるくらいアニメ見まくったんでしょうね)。
どうしてだったんだろう。
松田さんが激怒してたからそれは良くないことなんだとは思うけど、警察学校編を顧みるに萩原さんもあんまり軽率なことはしそうにないかただと思うんです。
……いや、今はそのへんあれこれ想像したって仕方がありません。
私は厳重な警戒態勢が敷かれる中、《 バニッシュ 》を使って第二現場の二十階へと足を進める。
エレベーターを使うわけにはいかない。こんな時に誰も居ないのが二十階で停まるとか怖いもの。
ああ、モヤシなのが憎い。本当に、本気で、身体を鍛えたい。今はまだ柔軟体操でヘトヘトです。悲しい。
……これくらいのタイミングかな。
「……ゼロさん、ヒロさん……爆弾犯は、おじさん二人組です。伝えたほうがいいかたに、どうにか伝えてください」
『……分かった!』
諸伏さんの声がした。
降谷さんは無言だったけど、もしかしたらもう第一現場に着いていらっしゃるのかもしれませんね。
ああ、避難を呼びかける声が聞こえてくる。
爆弾のタイマーがとまったということだ。
やっと、二十階についた。
息が上がっているのを抑えながら中へ進み、私は様子をうかがった。
機動隊の人たちが見えた。
《 バニッシュ 》を使いなおし、少しだけ距離を詰め、柱の裏に身を潜める。壁に埋まってるけど出っ張ってはいる系のよくある柱だ。
「……危な……かった……!」
私なんかよりよほど呼吸が乱れている人の声がした
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