5.降谷さんの動揺。
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----------------------------------- case : Morofushi
階段から落ちてしまってそれから腕が痛いと言ってる、という理由を作って彼女を整骨院で診てもらった。
彼女は相変わらず茫然自失状態だったんだけど、それは階段から落ちた恐怖が抜けないせいだろうと先生が勝手に納得し、ものすごく心配してくれていた。良い人だな。
肩だけでなく肘にも少し炎症があるみたいだった。随分か弱い。そんな子があんなのを構えていたなんて、オレの見間違えだったんじゃないかって考えたくなるんだけど、彼女のこの右腕の負傷原因を思えばその思考こそ現実逃避なんだと思う。
湿布や痛み止めなどを処方してもらい、ゼロのRX-7FDで運ばれる。
しかし、FDか。思わず笑みが浮かぶ。
やっぱり鬼塚教官のを見て気に入ったのか、それで無茶をやったのがよほど楽しかったのか。
まだ遠くない過去を思ってオレは目を細めた。
そのうちにとあるマンションの一室に案内される。
「へえ、こんなお洒落なトコに住んでたのか」
警察学校は全寮制だ。そこを出た後全ての連絡を絶っていた者同士、お互いの現在を何も知らない。
「違う」
「……あぁ」
はたからみれば情報の足りない会話。
けど配属先におおよその見当がついている今なら何となく察することができる。
ここはゼロのセーフハウスの一つにすぎないんだろう。
まだ卒業して一月も経っていないのにそんなものを持っているのは、既に何らかの任務に就いているためなんだろうか。
例えば、今は青い顔をして周りが何も見えていない様子の彼女に関わる何かとか。
ゼロはその彼女を気づかわし気に眺めながらその手を引いてソファに座らせた。そしてその隣に座る。寄り添うのはきっと彼女が心配なんだろう。微笑ましく思っていると、ゼロがオレに目配せをした。お前も隣に座れってことらしい。
もともと大勢招く設定のない部屋なんだろうな、ソファはこの一個しかない。
大人しくゼロを挟んで彼女の反対側に座る。なんだかそわそわした。大人三人並んでも幅には余裕があるんだけど、何でオレちょっと落ち着かないんだろ。
ゼロはそれから少しだけ考え込む様子を見せて、やがて何事か決心した様子で一人小さく頷き、彼女に話しかけた。
「お前自身が何なのか分かっていないうちは明かさないでくれとは言われたが、恐らく僕一人の手に負える事態じゃない」
言ってゼロはくいっとオレを親指で指してみせた。
「こいつは僕の最も信頼する男の一人だ。今からこいつも巻き込む」
勝手に決められたらしい。けどゼロの信頼は素直に嬉しいし、今まで散々メチャクチャやって来たんだから今度もメチャクチャ
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