5.降谷さんの動揺。
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彼女は零の字を指で宙に書きながら呟くように言った。
「うん、正解。けどゼロ、それオレの前で言ってよかったのか?」
「巻き込むことは決めたからな」
ゼロはそう言って不敵に笑った。
「なるほどな。じゃあ、オレも巻き込まれるからには明かしておこう。諸伏景光。所属は警視庁公安部。同じく警察官だ」
ゼロが苦笑する。
「……そっちだったか」
「ああ。いつかゼロに使われることになるかもしれないな」
「その時はこき使ってやるよ」
オレは肩をすくめて苦笑する。
彼女はまた少しぽかんとしていた。
「……お二人とも、警察官……えと……本当は明かしちゃいけない、んですか?」
彼女はきょとんと首を傾げている。
刑事ドラマとかスパイ映画とかそういう作品に興味が無かったりすると、警察に潜入捜査官とか居るなんて分からないのかもしれないね。特にゼロが言った部署に公安が関わってるのは、名前を聞いただけじゃ分からなそうだ。
「そうだ。下手したら命がかかわる。時に自分だけじゃない、大勢のだ」
彼女は目を見張った。
そして眉根を寄せて俯く。
「……そんなたいへんなことを話させて、ごめんなさい」
「こんなことで俯いてる場合じゃないぞ。お前はそれに加担する道を選んだんだからな」
彼女ははっと顔をあげた。
「さて、これからどうするかだが……何も身体を鍛えていないからな……来年警察学校に行くか? お前なら今からでも試験は通るだろう」
「やっぱり頭いいんだ」
「やっぱり……? まあ、彼女は一応海外留学して、おまけに飛び級で卒業しているらしいけど」
「一応って」
「い、一応……」
ゼロの言い様に彼女が可哀想になる。彼女自身も凹んだ様子を見せていた。
「いや、しかしだ……卒業したとして、お前のその力を知る僕たちのところに配属されるとは限らない。別部署になると面倒なことになる」
「確かに。身体鍛えるのが目的なら、それこそオレもゼロも一緒に見たらいいんじゃないか? わざわざ学校に行かなくてもさ」
来年度の入学までは半年近くあるからなあ。その前に二人で鍛えてあげたほうが話が早い気がする。そもそも、師匠になれって言ったのはゼロだろう? そしてオレだけでやる気はないからな?
「……えっと、できればご指導ください。他のかたに頼るのは、不安です」
「それはそうだよなあ」
さっきもそう言ってたしね。
ゼロがふっと小さく息をついた。そして、ニヤリと笑う。
「僕は、厳しいからな」
彼女は怯えるんじゃないかと思ったけど。
「はい……!」
ものすごく真剣な顔で即答した。意外だった。すっかりか弱いお嬢さんだと思ってたけど、失礼だったのかもしれない。
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