5.降谷さんの動揺。
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ロも固まってるよ?
彼女は何でもないことを言ったつもりなのか不思議そうに首を傾げた。
やがてゼロがこほんと咳払いをした。それでオレも呆然から復活する。
「……君は罠だったと思ってるのか」
ゼロの眉間に皺が寄ってる。当たり前だろうなあ……。
彼女は眉尻を下げて苦笑した。
「昨日までの秋本さんと今日のあなたは、雰囲気が違いすぎます。さすがに夢なんか見てられません」
絶句するしかない。
オレはこの凍り付いた空気に耐えられなかった。
「昨日までの『秋本さん』ってどんなだったんだ?」
少し苦笑しながら言うと、ゼロにギッと睨まれた。怖いよ。
彼女は少しだけ考え込んでた。
「……もっと軽そうでした」
オレは思わず噴き出した。
「……ヒロ」
ゼロの視線が怖すぎる。
「いや、軽いゼロとか想像できなくてさ。真逆だろ」
ゼロも眉間のシワが深くなった。フォローにはなれなかったらしい。
「……ゼロ?」
言って彼女が首を傾げている。よし、ゼロが怖いから話題を逸らそう。
「うん。……ええと、その話をするには……」
偽名で呼ばれてるってことは本名は名乗ってないな。だからオレはちらりとゼロを見る。
はぁーとゼロは大きなため息をつき、目のあたりを手のひらで覆って天を仰いだ。
ゼロはソファに背を預けてぐったり、オレはクスりと笑い、そして彼女はオレとゼロとでちらちらと視線を往復させる。その状態が数秒続いた。
やがてゼロが復活して姿勢を戻した。眉間に皺を寄せて、一瞬目を伏せる。
「汀。……その道に進んだら、もう、戻れないんだぞ」
「そういうもの、なんでしょう?」
ふわっと笑って言った彼女は先程まで青ざめてたなんて思えなかった。
「……まったく……分かってるんだかいないんだか……!」
また、ゼロが大きなため息をついた。
けれど彼はすぐに切り替えたらしい。
「お前がぼーっとしてたから話が途中で止まってたんだ。お前自らが不穏分子にならないことを進んで望むなら、そして望む先を僕の紹介できるものに求めるなら──僕の正体を明かす」
彼女は一瞬目を見張り、そしてすぐに真剣な顔をして、小さく頷いた。きっと切り出した時にもう、決心はついてたんだろう。
そんな彼女に目線を合わせたゼロは、こちらからは見えないが、きっと同じく真剣な顔をしていることだろう。
「僕は──警察庁警備局警備企画課所属、降谷零。公安の警察官だ」
彼女は一瞬驚いたように小さく口を開けた。
そしてふっと笑う。
「……警察の、かただったんですね。『れい』の字は雨冠のこれですか、それでゼロ……」
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