5.降谷さんの動揺。
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にも分かっている。
「その力が怖いのは、他人を殺傷できるモノだってだけじゃなく、勝手に使ってしまうことを恐れるからだろう? だからこいつを巻き込む」
またゼロは僕を親指で指してきた。
「オレはいったい何をすればいい?」
苦笑しながら聞くと、ゼロはにやっと笑いながら振り返った。
「ヒロ、彼女の師匠になれ」
「……は?」
え、それはさすがに予想してなかった。
「僕はミドルレンジには自信があるがスナイパーにはそこまで明るくない。彼女に心理的な部分を教えてあげてほしい。無意識にとか勝手にとかで使ったりしない自信がつくまでは」
「結構な重責だな……けど、心理的な部分なら別にゼロだって」
「念には念を、だ」
「そ、そうか……」
押し切られてる気はするけど、巻き込まれる覚悟はしたし、今更だろう。
「……秋本さん」
しかしそこで、彼女がオレの知らない名前を呼んだ。
ゼロの偽名か? やっぱり彼女はゼロが何らかの潜入で関わることになった人間なんだろうか。
「こんな異様な力……私の監視って、もう一生解くわけにいかない、ですよね……? だから、そんなことをこのかたに頼もうとしてる。……そして」
彼女がひとつ小さく息を吸い込んだ。これから何か言うことのために、なんだろう。
「危ないことに、できるだけ関わらないように済まそうとしておられる」
「当たり前だろう、お前は、ただの一般人だ」
「いいえ。私は凶器です」
「……」
即座にそう言い切った彼女のそれは、卑下なのか、それとも。
「私は、自分が、怖い、です……だけど、こんな怖い自分が普通の生活に紛れることが、もっと怖い」
「……汀?」
「私に、この異常な力を、役立てられる場所を、くれませんか。多分、あるんでしょう?」
オレもゼロも息を飲む。
青ざめて震えていた彼女はすごくか弱そうに見えたのに、つっかえながらもそう言葉を紡いだ声には、どこか意志の強さを感じた。
「汀……!」
「間違った使い方をしてしまうことに怯え続けるのは、怖いです、そんなの、耐えられない。だから……正しい使い方を、私に下さい」
「……」
オレもゼロも、やっぱり絶句する。
彼女は居住まいを正す感じで座り直して、オレたち二人の方を向いた。
「私は悪いことをしました。それを探るために、秋元さんは私にロミトラ仕掛けなきゃいけなかったんでしょう? そんなことをしたからにはきっと、正しいことをする人なんだと、信じています」
すごく重要なことを言ってるんだと思うけど、ええと、今彼女は何を言った?
……いや、予想はしていたんだ。
していたけど、彼女自身がそう言い切ったことに驚きを隠せない。
ゼ
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