5.降谷さんの動揺。
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……『協力者』の件を持ち出して取り調べをすっ飛ばす」
数秒の沈黙の果て、そんなことを言った降谷さんに私と諸伏さんは目を見張り、そしてどちらからともなく噴き出してしまった。
「今回は手土産もあるし、そっちに手がかかってうやむやになるかもしれないしな。……さらっと目を通した限り、結構な贈り物だ」
私が段ボールに詰め込んでたあれのことかなあ。いつの間に目を通したんだろう……。
「なんだか面白いことになってそうだな」
「面白くもなんともない。お前もこいつが無茶ばかりしてるのは想像がつくだろう」
「……あー……」
「……ふ、二人して何ですか」
思わず膨れてしまう。
「……あ、でもこれは、私的な調査になるんですよね、お仕事の邪魔にはなりませんか? 私透明になれるから、こっそり見に行けそうじゃないですか」
ゲームでは60秒間だったのが20分間になってたとはいえ、更新を忘れたら終わりだとは思うけれど。
本当に、お仕事の邪魔はしたくなかったのになあ……。
「合間にちょいちょいっとできることだから気にしないで。君がそれをやるリスクは大きすぎる」
「……リスク……そうですよね」
眉根を寄せてハの字にしてしまう。
萩原さんを助けたいのには私のエゴが大きく混じっているのに、諸伏さんの手を煩わせてそれを待っているだけなんて。
「……何事もなければいいなあと思います。私の気のせいだったらいいなあ……皆さんの記憶は、とても、眩しかったんです。無関係な私でも、いつまでも皆でいてほしいと、思いました」
思わずふふっと笑う。
「けど、私の気のせいだったりしたら、ヒロさんには無駄足を踏ませてしまうことになります。……それでも、いいんでしょうか……」
へへっと、諸伏さんは笑った。
「なんだかこそばゆいけど、そういう奴らのことだからこそ、オレは何でもやるよ」
「……やっぱりあなたがたは、眩しいですね」
そこに降谷さんが不安そうな声を上げた。
「そういえばそれ……どこまで視えたんだ?」
「あー……ご友人のお一人がヒロさんの写真にヒゲをかいてて、皆でわいわいなさってました。ただ……あんなに楽しそうだったのに、視て以来『何か不安』な感覚が続いていて……」
不安はこの時期ならと感じているだけだから、こう説明するのは嘘が混じっているのだけれど。何かが起こるかもしれないという印象は、持っていてもらいたいから。
「そうか、そんなに大量には分からなかったんだな」
「大量に分かっちゃったらプライバシーの侵害どころじゃないから、あんまり使いたくない力です……自分でどうにかできるのか分からないですが……あれは使わなきゃとか思ったんじゃなくて、勝手に起こったので」
「そうだった
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