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邪教、引き継ぎます
第五章
44.侵攻
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キラーマシン軍団が運よく大きなオブシディアンを掘り当て、製作に至ったものである。

「そこまで細かくは書かれていませんでしたが、そう考えるのが自然です。黒い鏡は召喚元の世界とこちらとの橋渡しとなるもの、とのことでした」
「術式はどうなのだ。大丈夫なのか」
「はい。大丈夫です。術式は大魔王ゾーマ時代のアレフガルドで確立されたもので、それをハゼリオ様が見つけて研究されたようです。生前にお話が聞けなかったのでどの程度の自信をお持ちだったのかは不明ですが、私は信じます」

 やがて、外からシルバーデビルの大きな吠え声が聞こえた。フォルたち以外に神殿にいた者の避難が終了した旨の合図である。

「では、始めます。皆さんよろしくお願いします」

 フォルは、練習をくり返して暗記した呪文を唱え始めた。

 やがて、礼拝堂の中にわずかな空気の流れができた。
 風とまではいかない。しかしそれぞれの頬は感じる、たしかな流れだった。

「今です。皆さん魔法円に魔力の注入をお願いします」

 タクトを除く全員が魔法円に手のひらを当て、短く詠唱した。
 外にくらべれば暗い礼拝堂。大きな魔法円の中に描かれている図形や記号、文字たちから、青い光が発せられた。フォルたちや、堂内の柱、像、そして広い空間そのものを、下から染め上げてゆく。

「……!?」

 神殿が揺れ始めた。
 最初はわずかな、細かい振動。
 すぐに、立っているフォルにも感じられる揺れとなった。
 建物も空気も、ざわめいてきたようだった。

 ところが。

 黒い鏡からは何も現れないまま、その揺れはプツリと途絶えた。
 青い光もほぼ同時に消えてゆく。

「……」

 ただ一人立っているフォルは、愕然とした。
 キョロキョロと見回すも、もちろん礼拝堂には何も現れない。何もいない。

「も、もう一度やりましょう」

 ふたたび同じ手順でやり直した。
 しかし、今度は青い光すら発せられなかった。神殿が揺れることもない。
 さらには。

「あっ」

 フォルの体がビクンとなった。
 ピシっという音が、闇色の鏡から鳴ったのである。

「ヒビが入った。壊れたね」

 白い少女の冷静な指摘。もちろん壊れたタイミングでも、何も現れることはなかった。
 なるほど、という声も聞こえた。祈祷師ケイラスのものと思われた。

 もしかすると、この礼拝堂内ではなく外に召喚された可能性も――。
 一縷(いちる)の望みで一人の魔術師が見回りに行ったが、戻ってくるなり首を振った。
 それを受け、静寂の中、フォルの首が垂れた。

「失敗、ですね……」

 場の空気が重い。

「儀式はこれで終了です。皆さん、せっかくお力添えいただいたのに申し
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