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八条学園騒動記
第七百六十八話 ナンの歯磨き粉その十一

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「草原だとね」
「そこで寝るのね」
「そう、寝てね」
「クミズ飲んで」
「進むのよ」
「滅茶苦茶凄いわね」
「だからモンゴル帝国強かったのよ」
 この大帝国はというのだ。
「普通は夜は休むけれど」
「寝てね」
「その寝るのもね」
 これもというのだ。
「馬に乗ってね」
「馬は進むし」
「そのままね」
「寝台列車に乗ってる感じね」
「そう、ちなみに馬が疲れたら」
 その時はというと。
「隣の馬に飛び乗ってね」
「乗り換えね」
「これも普通にね」
「出来るのね」
「モンゴル人なら皆ね」
「最早曲芸ね」
「ええ、曲芸と言われると」
 まさにというのだ。
「そうなるわ」
「そうよね」
「他の国だとね、けれどね」
「モンゴルだと普通なのね」
「草原で遊牧していたらね」
「それであんたも出来るのね」
「馬に乗ってクミズ飲んで」 
 そうしてというのだ。
「乗ったまま寝ることもね」
「そうなのね」
「それだけいつも馬に乗っていて」
 そうであってというのだ。
「馬に慣れ親しんでいるのよ」
「だから出来るのね」
「子供の頃からどころか」
「歩く様になる前に」
「もう馬に乗ってるから」
「出来ることね」
「そう、鞍や鐙や手綱がなくてもね」
 馬具がなくともというのだ。
「私もね」
「乗れるのね」
「そうよ、ちょっと乗りにくいけれど」
「ちょっとなのね」
「足と言葉でね」
「馬を動かすの」
「基本ね、それに乗っていたら」
 馬にというのだ。
「考えもわかるし」
「それでいけるのね」
「モンゴル人はね」
「成程ね」
「それでクミズにお話戻すけれど」
 この酒にというのだ。
「何なら今夜飲む?」
「あんたのお家で?」
「そう、ゲルでね」 
 その中でというのだ。
「そうするの?」
「いいの?」
「いいわよ、お客さんはもてなす」 
 ナンは笑顔で答えた。
「それがモンゴルだからね」
「いいのね」
「そうよ、あんたさえよかったらね」
「じゃあお言葉に甘えて」
「今夜は飲みましょう」
「クミズをね」
 こう話してだった。
 一緒にクミズを飲むことにした、そしてアロアはその日の夜ナンに言われた今彼女が暮らしている場所に行った。するとそこである娘に会ったのだった。


ナンの歯磨き粉   完


                   2024・6・16
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