第二章
[8]前話
同じ寮に住んでいる筈もない河原崎にはわからなかった、それで首を傾げさせるばかりだった。だが同じ寮に暮らしている娘達は。
朝起きた彼女にだ、こう言うのだった。
「今朝も凄いわね」
「物凄くどんよりしたお顔ね」
「目付き滅茶苦茶悪くて」
「髪の毛あちこちにはねて」
「姿勢も幽霊みたいで」
「物凄い寝起きね」
自分の部屋から出て顔を洗いに行くパジャマ姿の彼女を見て話した。
「喋らないし」
「表情も沈みきって」
「何時見てもね」
「寝起きはとんでもないわね」
「・・・・・・・・・」
朋美は沈みきった状態で洗面所に向かった、そして顔を洗い朝シャンをしてメイクを整えるとであった。
「皆おはよう」
「はい、これで寝起き終わりね」
「いつもながら凄い寝起きだけれど」
「これでね」
「私寝起きはね」
自分でも言うのだった。
「子供の頃からそうで」
「それでよね」
「物凄いのよね」
「どうしても」
「どうしようもないのよ、お顔洗ったらしゃきっとするけれどね」
キャンバス内でよく知られている外見と態度で話す、そして朝食を食べて学校に行くのだった。
キャンバスではやはり人気者だ、だが寮生達は思い言うのだった。
「本当に寝起きはね」
「いつも凄いから」
「それ見るとね」
「素直に可愛いとは言えないわね」
こう言うのだった、そうしてだった。
彼女と友達として付き合っていった、寝起きの時以外は問題なかったので。だが寝起きの時のことがどうしてもあり素直に美人とは言えないことは変わらなかった。
朋美にとってこのことは生涯変わらず。
結婚しても夫からも子供からも言われた、寝起きが凄いと。そして家族からは素直に美人とは言われないのだった。このことは一生変らなかった、普段や性格はいいと言われても。
最悪の寝起き 完
2024・9・15
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