4.降谷さんの困惑。
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会話が続かない。
私がまとめ終えて安室さんのほうを見ると、彼はそういえばと口を開く。
「冷蔵庫の中身は? 長くもたない物はあるか?」
「あ……!」
そう言えば、結構ある。早めに帰った日は夜ご飯を食べてからお酒を飲みに街に出ているのだ。
マイバッグにしている編みかご系の買い物かごを出してきて、冷蔵庫の中身を詰めていく。
「……へえ。自炊するんだ」
「意外、ですか? 料理は好きなんです。成分とかその調整とかを考えるのが楽しいからって言うと、たいていの人が変な顔をしますが」
「……なるほどな」
「そういえば、お家にデジタル秤とか計量カップとか軽量スプーンはありますか?」
調整が楽しいからやっているので、これらは私にとっては必須なのです。
「デジタル秤はさすがにない。あと計量カップとかもお前が使いたい性能がないかもしれない」
「なるほど、です」
傷むのがいやなものとお気に入りのお手製調味料をかごに詰めてから、量り各種を各所から引っ張り出して、小さいものはパックに詰めて……私は少し悩んだ。
「秤は僕が車まで持っていくから、お前は他のを。運転中はお前が膝に乗せておけ。精密機械だろう」
「はい。ありがとうございます」
そして安室さんのお家にそれらを運び入れたあと。
「少し行くことろがある。着いてこい」
「はい」
どこに、行くのかな。
----------------------------------- case : Furuya
助手席に乗せた彼女にアイマスクをかけさせた。困惑した様子ではあったがやはり何も聞いてこない。
これは、物覚えは良いらしい彼女に場所を記憶されないためだ。
目的地に着いてもアイマスクは取らない。手を引いて歩いていく。
許可された者にしか与えられないカードキーで中へと進む。
そして目当ての施設にたどり着いてようやく、彼女のアイマスクを外した。
そしてつけることが決まっているゴーグルを二人して装着する。ここを利用する他者に顔が分からないようにするため、多少ゴツい。
周囲を見回して彼女はまた困惑の表情を浮かべた。
「ここ、は……?」
「射撃訓練場」
彼女は目を丸くした。そして的が並ぶ方向を見遣る。
長距離射撃用のラインまであるような施設だが、公のものではない。本当は存在してはいけない場所。公安のお抱えだ。
「……あの、わた、し……」
「僕個人はもうあまり疑ってない。ただ確たる証拠になる情報が得られれば、監視の手を緩められるかもしれない」
「そう、ですか……」
僕はあの時見たモノに近いフォルムの銃をいくつか借りて来る。無人だが借りるには先程のカードキーが必要で、誰がどうしたのか
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