4.降谷さんの困惑。
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7FDはなかなか傷だらけだった。
私が独りで突っ走ったせいで例の無茶な運転をして追いかけてきたんですね……ごめんなさい……。
安室さんは『兄貴』をトランクに入れ、私の取り引き相手については拘束を増やして後部座席に。私は助手席に押し込まれた。て、手錠とかかけないんですね。お慈悲をありがとうございます……。
帰りはとても安全運転だった。
安室さんは先に警察庁か警視庁らしきところに向かい、二人を仲間らしき人に預けていた。
車に戻ってきた安室さんはすぐに発進した。
私は震えが止まらない。
しばらく走って、安室さんがぽつりと言う。
「……アレは、何だ」
私は眉根を寄せて俯く。私も、何なのか分からないんです……。しょ、正直に、言っていいのでしょうか……怖い……。
「……私にも、分からないんです……なんであんなことができたんでしょう……」
「……」
安室さんは疑いの目でこちらを睨んでいる。
「どこかで、気が済むまで調べてください。私も、知りたいくらいで……」
「元からそうするつもりだ。普通誰も信じられないだろうから、あの家で僕がやらせてもらう」
『僕』。
素が出てるのかなあ。
やっぱり『秋本さん』は作りもので……『安室さん』とは全然違ったから、もしかしたらもう会えないのかもしれない。そのことがちくりと胸を刺した。
やがてあの部屋のあるマンションに到着した。
私の腕を掴む安室さんの力は結構強くて、痛かった。
部屋に入ってからは終始無言だった。
「……ッ」
脱げ、と言われた。あんな銃が消えたんだから無理もないと思う。
羞恥で全身が燃えそうになったけれど、きっと今更だ……と私は自分に言い聞かせる。
色々と探られる。
でもやっぱり、何も出てこない。
「……服を着ろ」
「は、はいっ……」
震える手で服をきちんと着直して安室さんを見上げると、やっぱり怖い顔をしている。本当に怖い。
「……何も、出てこなかったな」
私も眉根を寄せた。
「そう、ですね……」
安室さんが腕を組んだ。
「証拠も何もないから、逮捕することは難しいだろう。……本当に、覚えがないんだな?」
「はい、本当に何も……何アレ……ッ……私、どうしちゃったんでしょうか……」
訳の分からなさと、安室さんが怖くて、ぐっと抑えようとしたけど涙が浮かんでしまう。きっと泣ける立場じゃないのに。
これが誰にも見られていない所で発現していたりしたなら、ワァイ転生特典かなとか呑気に喜んでいたのかもしれないな、とぼんやり思う。
でもこんな状況でこれがあるのを知った。安室さんと
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