2.降谷さんの刻苦。
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うか。
「こんなんじゃ足りないっていうなら、もっとたくさんきみのことを知りたい。ずっとそばにいて、汀」
しかし彼女はざっと一気に青ざめた。さあどうした、この反応は。
ばっと僕を見上げると、彼女は目を逸らしながら恐る恐るというふうに口を開く。
「……あ……わ、私、は……そんな、ふうに、言ってもらえる人間じゃ、ない、です」
「……汀?」
怪訝そうな目をして問いかけてみる。彼女は目を逸らしたままだ。
「…………とにかく、ダメ、です」
「……ねえ、汀」
「……?」
彼女は恐る恐るといった様子で顔を上げた。
「……きみ、深夜徘徊してるとこ注意した俺に言ったよね? ……『だれもこまらない』って」
彼女はしまったというような顔をした。またふいっと目を逸らされる。
「そんなこと、言ってないです」
「ばかやろう。誤魔化すな」
「……!?」
思わずといった様子で顔を上げた彼女の頬に添えていたほうの親指で、ふにゃりと唇をなぞる。ひくりと彼女が震える。
「……言って、汀。そんなこと言うってことは何か隠してることがあるんだろ?」
今の彼女ならきっと、心配で怒りまで見せ始めている相手になら流される。
「……だめ、だめ……」
言葉としては伝えてくれなくても、こうして動揺を見せるくらいには、絆されている。
彼女が頭を抱えるようにして俯いたせいで頬から離すしかなかった手のひらで、頭を撫でる。
「汀。俺はそんなに弱くない。困っていることがあったら話して。たいていのことはどうにかできるから。……後ろ暗い意味でも」
「……ッ!?」
「……やっぱり何かまずいことをしているの?」
「……あ……う……」
見上げてきたり俯いたりと忙しない彼女をなだめすかすのはここまでだ。
彼女の身体をベッドの真ん中まで引いて、押し倒すように寝かせて、そして酷い口づけを始める。
思考を奪うために容赦のない蹂躙を。
唇も舌も歯も裏の裏まで苛め抜いて、息もままならないほど責め立てる。
途中本当に逃げ出したそうに、これまでよりも彼女の身体に力が入った気はしたが、そんなもの何の抵抗にもならなかった。彼女の力なんて僕にとってはないようなものないんだから当たり前だ。
せめてもの抵抗の意志という様子で色々とうろついていた彼女の腕さえも力を失って布団に落ちてから、ようやく僕は彼女から唇を離す。
激しく呼吸を乱してぼろぼろに泣いている彼女の姿に痛む心を己自身で利用して、表情を思いっきり歪めて僕は言う。
「……きみが言ってくれるまで、酷いことする」
「……っっっ」
彼女はくしゃくしゃに顔を歪めた。
息
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