2.降谷さんの刻苦。
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とも、知っている限り話したほうがいいのかもしれない。きっと安室さんだったらお縄にしたいと思う相手だと思うから。
(それにしても)
この国では、研究者の立場はあまりよろしくないものだ。
(そこをつかれるなんてなあ……)
報酬と待遇の良い海外に身を置こうとする流れもあるらしい。
それと関係なく研究が危険だから抑えられていただけの私にそんな餌をぶら下げて、『お前は報われたいんだろう?』とでも言うようにおだてられてきた。
(……本当、バカすぎ。黒歴史レベル)
いつか償えるなら、本当に防犯に役に立ちそうな何かに協力できたらいいなと思った。
よし、ここからは大根役者の出番です。演劇部とかに入っていたことはないから指導を受けたことも練習したこともほとんどないけれど、出し物でやる演劇は好きだったよ。
このあとヒェッってなるのを私はまだ知らない。
----------------------------------- case : Furuya
完全に起きたらしい彼女は、悲壮な顔をして両手で顔を覆った。できるだけ優しくと思いながらしばらく彼女の後ろ頭を撫でていると、ぽつりと声がする。
「……は、はな、して……」
「……いやだ」
「っ!」
息を詰まらせた彼女を抱きしめる腕の力を、ほんの少しだけ強める。
「だってこれくらいしないと、きみ、俺のこと見てくれないでしょ」
額に小さく口づけると彼女はぴくりと震えた。未だに顔を覆っている指にもいくつか口づけを落とす。
「っ……!」
ますます縮こまる彼女をもう少し抱きしめる。手のひらで覆われていても耳まで真っ赤になっているのが丸わかりだった。もう動けないわけじゃないだろうに、逃げ出そうとするそぶりもない。
「もともと察しが悪そうだとは思ってたけど、あんまり最初から口説くと警戒されそうだったし、俺もそういう性質じゃないし」
そこまで言って、僕は彼女の手のひらを顔から引きはがしにかかる。まったく力を込めていないのに、彼女はされるがまま素直に従った。……真っ赤だな。
「そんな俯いてたら苦しいよ」
「!」
くいっと引っ張り上げて僕の目の前に彼女の顔がくるようにした。目が合う。本当に顔が赤い。
「……ふあ」
「何情けない声出してんの」
「顔が綺麗すぎです」
「そんな口が叩けるなら余裕だな」
「余裕なんて……っ」
「……顔が綺麗なのはきみもだろ」
「……っ、そんな、こと、は……」
彼女は目を逸らした。
「何、嫌味?」
「……っちが……っ」
どうからかってやろうかと思っていると、彼女がふと目線を戻して、そろそろと
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