1.降谷さんの初陣。
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とを引き出した時には、接触してから既に一週間ほどが経っていた。それだけですらだ、思った以上に堅実だ。
「……いいかげん、奢ろうとするのはやめてください」
「だってきみ、学生だろう?」
そうでないと知ってはいるが、真実を明かさないわけにいかない状況に持っていける可能性を想定して。
「違います。ちゃんと働いています。社会人です」
「本当か? 歳は?」
「に、にじゅう、よん……」
「……本当に?」
僕がにこにこしながら圧をかけるのを躱せる人間なんてそういない。アイツらか鬼教官たちくらいだ。
「に、二十一です……」
「……本当か? 免許証を見せなさい。下手したら未成年飲酒で交番だ」
「酷いです! 私はちゃんと成人しています!」
「……免許証」
「……っ」
彼女はしぶしぶといった様子でカバンから免許証を取り出した。
「……これは……イギリス発行の国際免許証か。二十一というのは嘘じゃないんだね。けど、どうしてこんなものを?」
「留学、していたんです。期限までには日本で切り替え手続きをします……まだ、先なので」
「飲み歩いてる暇ある?」
「そ、それくらいは……!」
「まだ先とか言ってないで早めにやりなさい」
「……うぅ……」
「本当、子どもみたい」
「子どもじゃないです」
「俺から見たら子どもだよ」
「……っ! あなただって私と同じくらいでしょう? むしろあなたこそ未成年って言われても……」
お前も地雷を踏んだな。でもまあ、熱くなる程じゃない。僕は大人だからな。
「……何歳に見える?」
にこっと微笑んでみせる。
彼女は少しだけ顔をしかめた。
「…………あてつけで十六歳とか言ってみたいですが、それくらいの子は鍛えてもあんまり太くなれない気がします。それに、あなたからは成人してる人たちと同様の雰囲気を感じます」
僕は笑みを深めた。成人に見えるという断言ではあっても一言余計だ。
「ホォー……十六、ね……」
彼女はびくりと怯えた。逃げられないように腕を掴む。やんわりとにしかならないように注意して。骨ばってはいなくとも本当に細くて、今にも折れそうだ。
「……二十一ってことはやっぱり学生じゃないか。大人しく……」
「が、学生じゃないです! 飛び級、ってやつです、もう卒業してて……」
既に知っている情報ではあれど、やっと自分の素性を話し始めた。このまま押し流せるか。
「してて? で?」
「そ、その笑顔、怖い、です……」
「で?」
「だ、大学で、研究員をしています」
「証拠は?」
「しょ、証……っ」
「ニュースで見たことあるけど、大学にも社員証みたいなのがあるんだろう? 役所の人が首から
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