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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第219話:アドリブ、試される時
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怒りの原因の一端は、こんな状況でも暢気に紅茶を止めない輝彦にもあったのだが、それ以上に颯人に虚仮にされた印象が強かった査察官は彼を一睨みするとカップを受け取りつつ颯人の指輪を雑にスーツのポケットに突っ込み一気に呷った。
温かな紅茶が食道を落ちていく感触に、査察官は大きく息を吐き気持ちを落ち着ける。その際、輝彦の視線が指輪の入ったポケットに向いていた事に、彼は最後まで気付く事は無かった。
***
発令所から連れ出された颯人は、2人の自衛隊員に引っ張られるような形で軟禁の為の部屋へと連れていかれていた。まるで連行される犯罪者のような扱いをされている颯人だったが、当の本人は特に気にした様子もなく頭の中ではこれからの事について考えを巡らせていた。
――さてさて……ここいらで何か騒ぎの一つでも起きてくれれば、話しは早いんだけどな〜……――
聞きようによっては大分物騒な事を考えつつ廊下を歩いていると、正面からキャロルが酷く慌てた様子で駆けてきた。普通の慌てようではない様子に、颯人は脳内で非常に嫌な予感を感じつつキャロルに声を掛けた。
「お〜い、どしたどした? んな風に廊下走ると危ないぜ?」
少しでもキャロルを落ち着かせようと敢えておどけた様子で問い掛ける颯人だったが、対するキャロルはそんな事に頓着している余裕も無いのか颯人に掴み掛る勢いで何があったのかを話した。
「ハ、ハンス……!? ハンスが……!?」
「落ち着け落ち着け、深呼吸しろ。何言いたいのか分かんねえって」
明らかに普通ではない様子に、颯人は両脇を掴む隊員を振り払ってキャロルと視線を合わせる。振り払われた隊員達は慌てて颯人を再び拘束しようとするが、ただ事ではない事態に大人しく捕まる訳にはいかないと彼は素早く片方の隊員を腹に肘鉄を叩き込む事で無力化。明らかな反抗を見せた颯人を鎮圧しようと銃を向ける隊員に対しては、壁際に押し付けた上で相手の指にスリープの指輪を嵌めさせてハンドオーサーに翳した。
「な、何を……!?」
「悪いねッ!」
〈スリープ、プリーズ〉
魔法が発動すると、指輪を嵌められた隊員はあっという間に意識を失い眠ってしまった。瞬く間に2人の隊員を無力化した颯人は、ちょっぴり罪悪感を感じつつ非常事態だからと言う事で自分を納得させると改めてキャロルに何があったのかを訊ねた。
「これでよし、と。んで? 何があったって?」
「だから、ハンスが――」
今度こそキャロルが何があったかを颯人に話そうとしたその時、出し抜けに今度は廊下の奥から誰かが後ろ向きに吹き飛ばされてきた。キャロルが走ってきた方から飛んできたそれが自身の母親であるアリスである事に気付いた彼は、話を聞くのも中断して咄嗟にアリスを
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