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金木犀の許嫁
第三十四話 妹達への提案その八

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「もうね」
「誰もが死ぬわね」
「仙人さん、まあ神様ね」
「神様にでもならないと」
「誰だってね」
「どんな命でもね」
「死ぬわよ」
「そうよね」
「ダイオウグソクムシだってね」
 食べないことで知られるこの生きものもというのだ、何年も食べず死んでも死因を調べると餓死ではなかった。
「死ぬしね」
「どんな命もね」
「絶対にね」
 それこそ神にでもならないと、というのだ。
「死ぬけれど」
「それでもなのね」
「若くしてっていうのはね」
「悲しいわよね」
「癌は若くてもなるしね」
「私達でもよね」
「なるわよ」
 真昼はそうなる可能性を否定しなかった。
「子供でもね」
「そうよね」
「小児癌ってあるしね」
「子供でもなって」
「私達もね」
「なる可能性はゼロじゃないわね」
「そしてね」 
 それでというのだ。
「若くして癌でなくなる人もね」
「いるから」
「今はね」
「癌が嫌なのね」
「そうなの、けれどね」
「昔だと」
「そう、結核でね」  
 この病気でというのだ。
「死ぬ人が多くて」
「織田作さんもで」
「織田作さんのことを思うとね」
 その短い人生のことをというのだ。
「本当にね」
「残念に思って」
「結核がなかったらって」
 その様にというのだ。
「思うわ」
「そうなのね」
「本当にね」
 まさにというのだ。
「あと少し早く助かる様になっていたら」
「織田作さんは治って」
「そしてね」
「もっと沢山の作品書けたのね」
「長生き出来たわ」
 そうだったというのだ。
「そうだったわ」
「作品のことは置いておいても」
「大阪が大好きな」
 そうしたというのだ。
「そのままでね」
「長生きしてくれたのね」
「そうよ」
 夜空に悲しい顔で話した、朝からそうした顔になっていることについて残念に思いながら言ったのだった。
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