第七百六十八話 ナンの歯磨き粉その二
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「私にはわからないわ」
「あんたのお家ってサラリーマンよね」
「お父さんもお母さんもね」
「お母さんはOLさんね」
「そうでね」
「お家もあるわね」
「祖国にね」
こう答えたのだった。
「セルビアの」
「そうよね」
「定住民ね」
アロアは自分からこう言った。
「私のお家も」
「そうなるわ、遊牧民はお家じゃなくてね」
「ゲルよね」
「ロマニーの人達はキャピングカーでね」
この時代はそれで移動しているのだ、惑星間の移動あ言うまでもなく宇宙船で行われそこで暮らしている人もいる。
「私達はね」
「ゲルね」
「それで移動しながらよ」
「暮らしているわね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「今は本当にモンゴル人もね」
その遊牧民の自分達もというのだ。
「サラリーマンの人もいるから」
「街で暮らしていて」
「農業をしている人もいて」
そうであってというのです。
「そのうえでね」
「定住しているのね」
「中には豪邸を建てて」
そうしてというのだ。
「それでね」
「暮らしているのね」
「そうした人もいるのよ」
「モンゴル人も定住する様になってるのね」
「近代国家になってからね」
「その頃に独立して」
「それでね」
そうなってというのだ。
「本当にね」
「変わっているのね、モンゴル人も」
「そうよ、私としてはね」
自分の考えもをだ、ナンはここで話した。
「やっぱり遊牧するのがね」
「モンゴル人ね」
「昔からの生活だから」
モンゴル人のというのだ。
「街でいるよりも」
「そこで働くよりも」
「農業や工業よりもね」
「ゲルで暮らして」
「馬に乗って羊と一緒に暮らすのがよ」
それがというのだ。
「一番いいわ」
「そう考えてるのね」
「だから今もね」
「日本の学校に通っていても」
「ゲルで暮らしていてね」
そうしてというのだ。
「馬に乗ってるのよ」
「アパートで暮らさないで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「時々移動してるのよ」
「遊牧民の生活しているのね」
「快適よ」
笑ってだ、ナンはアロアに答えた。
「この生活」
「アパートじゃなくても」
「寮でもあるね」
「うちのクラス寮生の子いないからね」
「いないわよね、どういう訳か」
「皆アパートで兄弟姉妹と一緒に暮らしてるわ」
「そんな子ばかりなのよね」
二年S1組の面々はというのだ、実はナン以外は一人暮らしをしている者がいなかったりする。ナンはそうした意味でも少数派になるのだ。
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