第三十四話 妹達への提案その三
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「粋なファッションなのよ」
「ああした恰好って今はないわよね」
夜空は姉の笑顔での話を聞いて言った。
「本当に」
「そうでしょ」
「ええ、マントに着物はね」
「ボルサリーノの帽子もね」
「その組み合わせってないわね」
「マントがね」
この服がとだ、真昼は話した。
「ないしね」
「そもそもね」
「それに着物もね」
これもというのだ。
「今はね」
「着ている人殆どいないし」
「それを組み合わせた」
「粋なファッションね」
「それがね」
まさにというのだ。
「織田作さんの頃のファッションで」
「織田作さんも着ていて」
「それをそのままね」
「あの神社では再現しているわね」
「織田作さんは都会の人だから」
大阪はその頃からニッポン第二の都市であった、それだけに当時の最先端の流行もその都度注目されていたのだ。
「それでね」
「お洒落でもあったのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「あの人は」
「そうだったのね」
「そのことも観に行けばいいわ」
「大阪に行ったら」
「二人でね」
「わかったわ」
妹は姉に微笑んで答えた。
「そうするわね」
「それじゃあね、それとね」
「それと?」
「織田作さんが生まれ育った場所は天王寺区だから」
「あそこね」
「あそこ木が多いでしょ」
「大阪の中ではね」
夜空はまさにと答えた。
「そうよね」
「あの辺りに行ったら」
そうすればというのだ。
「そのことも観ればいいわ」
「木も」
「あの神社も木が多いし」
生國魂神社もというのだ。
「だからね」
「木も見るのね」
「大阪は水の都っていうけれど」
元々淀川と大和川の水運で栄えた街だ、それで多くの川が流れ堀もありそれでそう呼ばれてきたのである。
「織田作さんは木の都って言ってたし」
「木もなのね」
「見たらいいわ、上本町の方にお墓もあるのよ」
「上本町なの」
「お寺が一杯集まってる場所ね」
上本町の方にそうした場所もあるのだ。
「そこの楞厳寺ってお寺がね」
「織田作さんのお墓があって」
「よかったらね」
「二人でなのね」
「そのお寺に行ってもいいわ」
「難波だけじゃなくて」
「難波から上本町まで電車ですぐでしょ」
こう妹に言った。
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