暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第218話:双翼の不協和
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ていないのは熱唱する事に夢中になっているエルフナイン1人だけ。4人が少なくとも楽しいとはかけ離れた顔をしている中、エルフナインの歌が響き渡っているのが何とも異様な光景であった。
「……た、多分……いえ、間違いなく……今回の一件には私の血縁である、風鳴 訃堂が関係している」
「訃堂……って!」
「えっと、確か……」
風鳴 訃堂と言えば、S.O.N.G.の装者達にとってある意味で因縁深い存在である。何しろ先のパヴァリアとの戦いの終盤、神の力に取り込まれて異形と化してしまった響に対して容赦なく攻撃命令を下した男だからである。それだけでなくあの戦いでは度々口出ししてきた事などから、奏は彼に対して良い印象を持っていない。装者の中であの男に良い印象を持っているかも怪しいが。
そんな訃堂がまたしても干渉してきた。しかもその所為で颯人が軟禁される事になってしまったとなれば、奏としても平静を保つのは難しく瞬間的に激昂した表情を浮かべた。
このままだと奏が激情を翼に叩き付けてしまうのではと不安を抱いた未来であったが、肝心の奏は喉元まで出掛かった言葉を飲み込み目を瞑り大きく息を吐く。たっぷり数秒かけて肺の中の空気を吐き切ると、それまで彼女から感じられた荒々しい雰囲気が霧散したのを響達も感じた。
「そうか……まぁ、何となくだけどそうなんだろうなって気はしてたよ」
「奏……?」
「でもだからって別に翼の事を責めようなんて気はさらさらないから、心配するな。いけ好かないのはあの男であって翼じゃない。翼が責任を感じる様な事は何一つないよ」
奏は己の感情を押し殺して翼に責任を求めることはしなかった。実際翼に何が出来たかと言われれば、何と答えればいいかは奏にだって分からない。翼が一言声を挙げればそれで訃堂が下がってくれると言うのであれば話は別だが、あの男は身内からの言葉を聞くような可愛げのある人間ではないだろう事は容易に想像できる。今まで日本を守る為に戦ってくれた響でさえ容易く切り捨てる様な男なのだ。必要とあればS.O.N.G.自体に手を出す事も厭わない。ましてや颯人個人など、訃堂からすれば木っ端も同然だろう。
だから翼は何も気にする事は無い。奏は彼女にそう告げたのだが、それで納得いかないのが翼だった。
「でもッ! それでも、私にはあの人の血が流れてるんだ……あの人と同じ、防人の血が……」
今この瞬間、翼にとって防人と言う言葉は呪いに等しかった。国を守る為の剣であれと言う訃堂の考え。それに心の何処かで共感し、理解を示してしまっている自分を意識してしまっている翼は、心の何処かで颯人の今の扱いを妥当と考えてしまっているのではないかと言う不安に駆られてしまっていた。
煮え切らない翼が自責の念に駆られているのを察した奏は、努
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