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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第107話 まっとうな軍人
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にも空々しく見える。

「勿論です。素材の開発者には、当然それに見合う額をお支払うべきでしょう」
 俺はにっこりと笑みを浮かべると、手酌でシャンパンを自分のグラスに継ぎ足してから言った。
「帝国マルクで」
「……どういうことですかな?」

 一度顔を引き攣らせてからでは、その言葉には何の意味もない。時間をかけてゆっくりグラスを傾けて、シャンパンを舌でしっかりと味わう。しかしどうやら選手交代とはならないらしい。オネーギン氏は席を立つことなく、グラスにも手を付けることなく、俺を見続けている。炭酸が少し腹に持たれてきたので、溜息で誤魔化しつつ、俺は肩を竦めた。

「残念ながらプレヴノン・MM社の研究規模では、この素材の開発は無理です」
「……それは当社に対する侮辱ですか?」
「戦闘艦艇の装甲材は、民間船舶と素材が同じでも構成が異なります。プレヴノン・MM社は民間船舶の需要視する面防御構成の専門家でしょうけど、軍艦に使われる集中荷重防御構成の研究施設はないでしょう?」
「それを作ったんですよ。大金叩いて、人材も集めて」
「あまり我が軍の情報部を舐めないでもらいたいですね。流石に貴方のご友人には及ばないでしょうが、そのくらいは調べられます」
「しかし研究施設を建てて、研究したのは事実です」
「ではその研究施設に、非合法物資集合罪に基づいた強制捜査を行ってもよろしいですか?」
「それは法の恣意的運用ですぞ。連邦裁判所に訴えていい話だ」

 怒鳴り声を上げて立ち上がるオネーギン氏を見て、俺は苦笑を隠し切れなかった。同じようなやり取りを四五〇〇光年先で三年半前にしたことが、もう一〇年も昔のことのように思えてくる。そして怒鳴り声を上げて席を立つ氏と、苦笑を隠し切れない俺という、店にとって大迷惑な態度をとっているのに他のボックス席の客は迷惑そうな顔を誰一人していない。これは今頃大慌てのバグダッシュにいい『土産』が出来た。

「本当に、そちらを選択するんですね?」
 苦笑を収めて、目の前のサラミの一つを口に含んだ後、突っ立ったままのオネーギン氏をシラケた目で見つめる。
「当然、証言台には立っていただけるんでしょう。結構ですとも。ついでなので、帝国技術開発部のどなたかもお呼びしてもいいですね」
「……」
「『問屋』なんですから、扱う商品をしっかりと学んでから来てください。我々軍人は装甲材を最後の頼りに、命懸けて戦っているんです。少しでも性能の良い装甲材を求めて、開発本部をはじめとして多くの金属素材会社が研究を続けている。それを業界トップ一〇にも入らない零細が、開発拠点を作って一年ソコソコで産み出したなんて、奇跡を信じるわけがない。いやもしかしたらそんな奇跡もあるかもしれないが、まぁ『身の程を知れ』」

 敢えて上げた俺の嘲笑に、立
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