当て
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「「……」」
見滝原大学の食堂。
昼食時のピークを過ぎ、学生の姿もまばらになって来た頃合。
食堂の机で突っ伏しているハルトとコウスケは、それぞれ消え入りそうな声で会話していた。
「なあ……今日どうする?」
ほとんどしわがれ声のハルト。
顔だけを動かし、伏せているコウスケの脳天に向けてハルトは尋ねた。一方コウスケは頭を転がし、テーブルに顔を擦りつけたまま応えた。
「どうするもこうするもねえ……引き続きフロノヴァのマスター探しだ」
「フロノヴァって……フロストノヴァのこと?」
「他に何があるってんだよ」
コウスケの返事には、もう覇気はない。ただ頭を右へ左へ動かしながら、ほとんど脳を動かさないで返答しているように見えた。
そのまま数秒、ハルトは周囲の雑踏に耳を貸す。やがて体を起こし、コウスケを見下ろす形となった。
「そういえば、手がかりが何人かいたんだよね。今どんな感じ??」
「ラスト一人。もしそいつを外したら、今度こそ手がかりナシだ」
「振り出しに戻るって意味?」
「そ」
コウスケの肯定の言葉に、ハルトは大きくため息を付いた。
「そうなのか……昨日俺がグレムリンと戦っている時に、そっちもアウラと戦っていたって聞いたけど、アウラと遭遇したのも、手がかり探しの最中だったんだっけ?」
「ああ。元々三人候補がいて、うちオレが知る二人は外れ。っつうわけで、手がかりはラスト一人なんだが、ソイツのこと、オレ知らねえんだよな」
コウスケがようやく顔をこちらに向けた。
死んだ魚のような目をしている彼に、ハルトは肩を窄めた。
「……ってことは、フロストノヴァのマスターを探すよりも先にマスター候補を探すところから?」
「ああ。だから今日は午前の抗議全部すっぽかしてずっと探し回ってんだ」
「学生って大変だね……」
ハルトはそう思いながら、ラビットハウスに勤める学生である可奈美やココアたちのことを思い浮かべる。
彼女たちも(可奈美は現在休学中だが)定期的に勉強に追われるのと同様に、コウスケも勉強に追われる立場なのだろう。
「そっちが忙しいなら、昨日みたいに教授の手伝いも難しくなる?」
「多分な……フロノヴァマスター探しを優先してえ」
「てことは、お前がフロノヴァマスター……言い方移っちゃったよ……フロストノヴァのマスターを見つけるまで、教授の手伝いは……」
「一人で頼むわ」
「あああああああああああああああああああ……」
ハルトは頭を抱え出す。
「お前は昨日の有様を知らないから簡単に今日休むなんて言えるんだよ。あの凄まじい書類の量を一回でもいいから見てみなよ……」
「オレも最初の方一緒に見たぜ」
「あれが毎日更新されてるんだよ。おかしくない
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