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金木犀の許嫁
第三十三話 二人でいられるならその十一
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「夫婦で食べてるし」
「そうですか」
「飲めばわかるわ」
「夫婦善哉をですね」
「そうよ、実際は夫婦じゃなくて」
 蝶子と柳吉の関係はだ。
「旦那さんは本妻さんがいて」
「じゃあお妾さんですか」
「最初はね、それがね」
 その間柄がというのだ。
「主人公のお家にすっかり入って」
「実質的な夫婦になったんですか」
「それで大阪であれこれ商売を変えながら」
「暮しているんですか」
「そうした作品でね」
 夫婦善哉はというのだ。
「夫婦で食べに行ってるから」
「そうしたお店なので」
「作品の実際の夫婦関係は置いていて」
 そうしてというのだ。
「夫婦、カップルってことでね」
「行けばいいんですね」
「そうして一緒に食べたらね」
 そうすればというのだ。
「いいのよ」
「そうですか」
「だからね」
 それでというのだ。
「今の私達だと夜空ちゃんと佐京君ね」
「兄さん達ですか」
「そう、二人はね」
 まさにというのだ。
「行ったらいいわ」
「夫婦善哉とかにですね」
「自由軒でもね。もう今はなくて後継店が船場にあるけれど」
 それでもとだ、真昼は話した。
「いづも屋にもね」
「鰻ですね」
「行くといいわ」
「そうですか」
「織田作さんのお店を巡って」
 二人でというのだ。
「絆を深めてもいいのよ」
「そうですか」
「織田作さんは生前はね」
 彼が活躍したのは昭和十四年からだ、尚京都の第三高等学校に在籍しており東京にいた頃もあった。
「人生の殆どを大阪で過ごしていてね」
「大阪がお好きで」
「今もで織田作さんが通っていたお店も」
「ありますね」
「今もね、だからね」
「そうしたお店を巡って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「楽しめばいいのよ」
「二人で、ですね」
「そうよ」 
 まさにというのだ。
「夜空ちゃん達もね」
「いいですね、では提案しますか」
「そうね」
 白華の提案に笑顔で頷いた。
「それじゃあね」
「そうしましょう」
「神戸からすぐだし」
「簡単に行き来出来るので」
「だからね」
 距離のことも問題ないからだというのだ。
「それでね」
「兄さん達に言ってみますね」
「明日の朝にもね」
「そうされますね」
「ええ、じゃあ今日はね」
 真昼は微笑んで話した。
「そろそろね」
「寝ますか」
「ええ、そうしましょう」
「そうですね、それじゃあ」
「お休みなさいね」
「はい、お休みなさい」
 白華は笑顔で挨拶をした、そうしてだった。
 真昼に一礼すると自分の部屋に戻った、真昼はその彼女に手を振って別れを告げた。そのうえで自分のベッドに入ったのだった。


第三十三話   完


    
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