第三十三話 二人でいられるならその十
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「いいわね」
「わかりました」
白華はにこりと笑って応えた。
「それじゃあ」
「ええ、その時を待っていてね」
「そうさせてもらいます」
「そうしたらいいわ、私もお会いしたいわ」
「織田作さんの幽霊に」
「何時かね」
白華に笑顔で話した。
「お会いしたいわ」
「そうですか」
「お見掛けでもね」
「私みたいにですか」
「いいからね」
「そうですか」
「本当に一度ね」
心から言うのだった。
「織田作さんにお会いしたいわ」
「縁起がいい、めでたいので」
「本当にお会いしたらいいことがあるってね」
「言われてるんですね」
「そうなの。ただそのことがなくても」
会ったり見れば幸運が訪れずともというのだ。
「織田作さんは生粋の大阪の人で今もね」
「大阪がお好きですね」
「そうした人だから」
だからだというのだ。
「お会いするだけでね」
「いいことですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうなんですね」
「だからね」
それでというのだ。
「私としてはね」
「お会いするだけで嬉しいですか」
「織田作さんにはね」
「そうですか、私は運がよかったんですね」
「そして絶対にいいことがね」
「訪れますね」
「そうよ」
笑顔で言うのだった。
「本当にね」
「それでは」
「幸運を待っていてね」
「そうさせてもらいます」
「それとね」
さらにだ、真昼は白華に話した。
「織田作さんが行っておられたお店は今も結構残ってて」
「自由軒や夫婦善哉ですね」
「そうしたお店はカップルで行くといいのよ」
「夫婦善哉だからですね」
「そうよ」
まさにとだ、真昼は笑顔で答えた。
「何といってもね」
「そうなりますね」
「作品の中でもね」
その夫婦善哉のだ、主人公である蝶子は正式ではないが夫である柳吉にそうした店に連れて行ってもらって食べているのだ。
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