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ハッピークローバー
第百四十一話 楽園はなくてもその九

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「そんなので幸せって感じるか」
「疑問よね」
「そうだね」
「人は考えるから幸せって感じるのよ」
 また言う理虹だった、餃子を一個食べてそうした。
「私達も今考えてるけれど」
「楽園とは何か」
「それで幸せは何かって」
「そう考えてるけれど」
 それがというのだ。
「考えないとね」
「幸せもわからないね」
「そうよね、だったら楽園って」 
 キリスト教のそれはというと。
「何も考えずただいるだけの」
「そうした場所かな」
「何もしないでね」
「何か面白そうじゃないね」
「幸せがあるのかしら」
 理虹は首を傾げさせつつ言った。
「そこには」
「幸せとも感じないよね」
 古田はそもそもと応えた。
「そうだね」
「そうよね」
「何も考えないんだから」
「知恵、考えないから」
「それじゃあその時のアダムとイブは」 
 二人はというのだ、キリスト教における人類の始祖である。
「植物よりも考えない」
「ただいるだけの」
「飲んで食べるだけの」
「そんな人達だったのかしらね」
「そうじゃないかな、それならね」
 古田はさらに言った。
「世の中色々あっても楽しいとか感じられるなら」
「今の方がいいかしら」
「そうじゃないかな、桃源郷だと」
 古田は今度はそう呼ばれる世界の話をした。
「平和で気候も適度で食べものもある」
「そうした世界よね」
「それならね」
「わかるわね」
「うん、ただそうした世界でも」
 それでもというのだ。
「やっぱり人は考えるから」
「悩んだり苦しんだりするわね」
「うん、けれど平和で戦争も災害もなくて」
 そうであってというのだ。
「快適で普通に飲んで食べられるなら」
「楽園ね」
「そう言えるかな、だったら今の日本は確かに災害が多くても」
 古田は災害のことは忘れなかった、日本で暮らしているとどうしても考えから排除することは出来ないものだからだ。
「平和だし飲みものも食べものもあるし」
「それでなのね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「楽園じゃなくても」
「かなりいい場所ね」
「戦争がなくて普通に飲みもの食べものがあるなら」
 そうした社会ならというのだ。
「もうね」
「いいところね」
「そうじゃないかな、あとはね」
 古田はさらに言った。
「これはその時その人の事情によるけれど」
「どうしたの?」
「うん、そうした世の中で悩むことや苦しむことが少ないなら」
 そうであるならというのだ。
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