第八十七部第二章 膠着状態に入りその二十五
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「負けない」
「どちらでもないですね」
「実力は互角だ」
将としてのそれはというのだ、アッディーンもシャイターンもこのことは嫌になるまで熟知しているのだ。
「それならだ」
「勝てないですが」
「負けない、そして私が引き分けてもな」
「それでもですね」
「他で勝てばな」
「いいですね」
「かつてナポレオンには誰も勝てなかった」
無敵の軍神とさえ思われた彼にはだ。
「確かにナポレオンは強かった、だが」
「ナポレオンには勝てずともでしたね」
「他の将軍達に勝てばな」
「よかったですね」
「ナポレオンの下の将軍達も名将が多かった」
ミュラーやネイ、ダブーとだ。特にダブーは高名である。
「しかしだ」
「それでもでしたね」
「流石にナポレオン程ではなかった」
「だからでしたね」
「彼等には勝てたからな」
それ故にというのだ。
「フランスは最終的に敗れた」
「そうなりましたね」
「ナポレオン自身ロシア遠征で取り返しのつかない失態を犯した」
モスクワまで攻め込んだそれである。
「多くの兵を失い」
「自身の名声も失いました」
「フランスも力を失った」
それもかなりだ。
「そこを攻められてだ」
「ライプチヒの戦いで敗れ」
「彼は失脚した」
「そうでしたね」
「その後一度復活したが」
エルバ島から脱出して、である。
「しかしだ」
「もう、でしたね」
「命運は尽きていた」
「だからワーテルローで敗れ」
「そして遂にだ」
「完全に終わりましたね」
「そうなった」
まさにというのだ。
「そしてやはりな」
「ナポレオン以外の将軍はでしたね」
「多くが敗れた」
「最後はナポレオン自身でしたが」
「ワーテルローでな、だがあれもな」
この敗戦もというのだ。
「一人の将軍の失態によるものだ」
「グルーシーでしたね」
「一度破ったプレイセン軍を追撃させたが」
「見失っても本軍に戻って合流せずに」
「あてもなく探し続けていた」
そのプロイセン軍をだ。
「そしてその戦力がだ」
「決定的な遊軍になり」
「フランスはイギリス軍と戦っている時にだ」
「そのプロイセン軍が来て」
「遂に敗れた」
「そうなりましたね」
「グルーシーの失態だ」
ワーテルローのフランスの敗因はというのだ。
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