第98話 過去の出会い
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『先生』と呼ばれる男が出てきた、僕達をこんな地獄に押し込んだ張本人だ。
「それで今日は何をするんだ?耐久テストか?それとも犯罪者と殺し合えばいいのか?」
「残念だけど今日はお出かけだよ。さあ準備して」
有無も言わさずといった感じで即座に目隠しされて手錠をかけられた、そして背中に銃を突きつけられて何処かに連れて行かされる。
(何処に向かうかは分からないがチャンスかもしれない、何か情報を得られるかも)
この施設の外に出るのは初めてだ、かなり難しいが逃げるチャンスが来るかもしれない。僕は揺れる飛行船の中でそう考えるのだった。
そして僕達が目隠しを外されて最初に見た光景は多くの人間が集まるオークション会場のような場所だった。全員がフードを被って顔が見えないようにしている。
そして僕達をそいつらに見せながら先生と呼ばれた男が何かの説明をし始めた。恐らくこの男が僕達を実験体にして研究を進めている薬の話だろう。
「嫌ね、ジロジロと見てきて……」
「そうだな……」
手錠されて逃げられない僕とレンは小声でそう話す。
(んっ?)
その時だった、僕達を見ていた男の中に異様な雰囲気を放つ人物がいた。その男は無表情だったが目の奥に言いようのない狂気を感じて思わず身震いしてしまう。
「ッ!?」
僕は後ずさり最大限の警戒をする、だが男はフッと笑うと人ごみの中に消えていった。
「はぁはぁ……!」
「リィン、どうしたの?」
「ヤバイ雰囲気をした奴と目が合った」
「えっ、何処にいるの?」
「もういないよ……初めてだ、目を見ただけでぞっとしたのは」
レンが心配して僕に声をかけてきた。先ほどの男の目を思い出すとまた心臓の鼓動が早くなってしまう。
その後先生の話が終わるまで僕は警戒心を解くことが出来なかった。
―――――――――
――――――
―――
「長い話も終わったけど退屈ね」
「そうだな……」
話し合いが終わると僕達は牢屋に入れられてしまった。俺だけ手錠をかけられているし見張りはいるから逃げられないな……
「結局あの男はあの後姿を見せなかったな」
「そんなに危険な雰囲気を感じたの?私には分からなかったわ」
「多分僕だけにそういった恐怖を見せつけてきたんだと思う」
レンはあの男の異質な気配を感じ取ることはできなかったみたいだ、そうなるとあの男はあの狂気を自由にコントロールして僕だけに打ち込んできたって事になるのか?
「リィン、だいじょうぶ?」
「レン?」
するとレンが僕の頭を優しくギュッと抱きしめた。温かい温もりと柔らかな感
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