第98話 過去の出会い
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戦っていた。普段の彼は豪快でいながら冷静な立ち回りで場を圧倒する見事な戦いを見せるが今日はそれが無かった。
間違いなく調子が悪い、何か自分を抑え込んでいるみたいだ。
「アガットさん、どうしたのでしょうか?」
「何か思い悩むことがあるのかもな。とにかく今は様子を見よう」
「そうですね」
エマが小声でそう聞いてきたので俺は様子を見ようと答えた。
気にはなるが聞いたところで教えてはくれないだろうし触れてはいけないモノなのかもしれないからな。
そして道中の魔獣を退けながら目的地であるクローネ峠にたどり着いた。
「話では峠の山道に陣取ってると話を聞いています、このままでは通行人に迷惑がかかるので早急に対応しましょう。エマ、一応魔法で警戒しておいてくれ」
「分かりました」
「アガットさんもそれでいいですか?」
「……ああ」
俺はエマに頼んで魔法で周囲を警戒してもらうことにした、結社が出てくる可能性もあるからだ。
そうして警戒しながら峠を進んでいくとこの辺では見られない狼タイプの大型の魔獣が2体いた。だが……
「……何か様子が変だな?」
「何かに怯えていますね」
俺はそう呟きエマも頷く。魔獣たちは酷く辺りを警戒していた、まるで命を奪われかけた後に必死で逃げだした人間のようにビクビクとしているんだ。
「とにかくもう少し様子を見て……」
「まどろっこしい、俺がカタを付ける」
「アガットさん!?」
アガットさんは勝手に一人で魔獣たちに向かってしまい戦闘を始めてしまった。
「エマ、ティータ、二人はここにいて。魔獣の様子がおかしいから近づくのは危険だ、アーツなどで援護をしてほしい」
「分かりました、どうか気を付けてくださいね」
俺はアガットさんに加勢して戦闘を開始した。エマやティータの補助魔法などで体を強化して戦いを有利に進めていき、最後には危なげなく勝つことが出来た。
だが俺はアガットさんに詰め寄り文句を言う、さっきの行動はあまりにも勝手だ。
「アガットさん、さっきの行動はどういうつもりですか?単独行動が危険だという事は遊撃士である貴方が良く分かってますよね?」
「……」
「そもそも今日ちょっとおかしいですよ、貴方。何をそんなに隠そうとしているんですか?」
「お前には関係ねぇだろうが」
「俺達が信用できないならティータやエステルなどに相談すればいいじゃないですか、一人で抱え込むなって言ってるんですよ」
「うるせぇな、てめェには関係ねぇ事だろうが。猟兵が偉そうな事を言ってんじゃねえよ」
アガットさんの口から猟兵という言葉が漏れた際、強い殺気と共に一瞬だけ彼を黒い靄が
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