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八条学園騒動記
第七百六十六話 沙羅双樹の花その十一

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「悪事それも悪質なものばかりをです」
「行ってきた」
「そうした根っからの悪人がです」
「地獄に堕ちますね」
「そうですから」
「そうです、地獄に堕ちるなら」
 セーラもまさにと答えた。
「かなりの悪事をです」
「繰り返してきていますね」
「やはりどういった哲学でも宗教でも救えない様な」
 そうしたというのだ。
「根っからの悪人がです」
「地獄に堕ちますね」
「そうなります」
 まさにというのだ。
「やはり」
「左様ですね」
「ですから」
 その為にというのだ。
「地獄もかなりの悪道であり」
「そこに堕ちるなら」
「相当なです」
 そう言っていいまでのというのだ。
「悪人です」
「そうですね」
「ですが餓鬼道に堕ちるにも」
 こちらもというのだ。
「浅ましく卑しい」
「そうした行いばかりしていると堕ちますね」
「人間の屑という言葉がありますが」
「そう呼ばれる位の輩が堕ちますね」
「そして地獄もです」
 セーラはまたこちらの話をした。
「同じです」
「左様ですね」
「人間の屑と呼ばれる」
「そこまでにならないとですね」
「堕ちません、ですからどちらがより酷いか」
 餓鬼道と地獄道のというのだ。
「その区分はです」
「難しいですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「まことに」
「そうなのですね」
「苦しみの内容も違いますが」
 しかしというのだった。
「そのレベルはです」
「変わらないですか」
「餓鬼道も深くなると無間地獄と変わりません」 
 地獄の中でも最も深い場所にある地獄である、堕ちるまでに二千年かかり凄まじい炎と臭気に覆われているという。
「どうにもならないまでにです」
「酷い世界ですね」
「左様です」
 こうベッキーに話した。
「餓鬼道の深い場所は」
「無間地獄と変わらないですか」
「そこまで苦しみます」
「かなりの世界ですね」
「そうですので」
 だからだというのだ。
「どちらがより酷い世界か」
「わかりかねていますか」
「今お話している人は善行とは無縁でした」
「自分だけでしたね」
「そして悪事は犯しませんでしたが」
 そうであったがというのだ。
「ひたすら醜く浅ましく卑しく」
「そうした人生でしたね」
「そうでしたので」
 だからだというのだ。
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