第百四十一話 楽園はなくてもその三
[8]前話 [2]次話
「そうなるわね」
「そうだよね」
「人は考えるからなのね」
「もうどんな場所でもね」
「悩んで苦しんで憂いて」
「そうなるからね」
だからだというのだ。
「楽園もね」
「ないのね」
「悩んだりして楽園か」
「違うわね」
「幾ら天国に近くても」
そうした場所であってもというのだ。
「人は悩んだりするから」
「楽園はないのね」
「人は楽園には行けないよ、行けるとしたら」
「考えないことね」
「余計なことは考えるなって言われても」
それでもというのだ。
「やっぱり考えるよね」
「ええ、考えることはね」
理虹はそれはと応えた、テーブルの上で餃子を焼いている鉄板を見つつ。
「誰だって止められないし」
「自分が考えようとしたらね」
「考えるわ」
「そうだよね、そして考えると」
「それで楽園じゃないのね」
「そこから普通に悩んで苦しんで」
古田はそれでと話した。
「憂うから」
「そうよね」
「そして考えないと」
それならというのだった。
「人かっていうと」
「違うわね」
「考えるからね」
「人よね」
「植物だって考えるし」
「人も同じね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「結局この世にはね」
「楽園はないのね」
「周りに幸せなことしかなくても」
それでもというのだ。
「人は普通に考えて」
「考えたなら」
「絶対にだよ」
それこそというのだ。
「楽園じゃなくなるよ」
「どんな場所にいても」
「それでどんな場所も問題あるし」
「災害もあるしね」
「そうよね」
「スペインの子が言ってるよね」
古田は日本酒をまた一口飲んで言った。
「スペインは神様に何でも与えられたって」
「あっ、自然も食べものもね」
理虹も言われて頷いた。
「神様は下さったって」
「それでスペインは素晴らしいってね」
「そうそう、けれどね」
それでもというのだ。
「政治だけはね」
「神様はくれなかったってね」
「言ってるわね」
「あまりいい政府なかったみたいだしね」
「スペインってね」
「結構ごたごたが多くて」
政治的問題が絶えずしかも優れた人物が政治の場に出なかったというのだ、古田は理虹に対して話した。
「それでね」
「楽園じゃないのね」
「スペインもね」
「そうよね」
「またキューバの話をするけれど」
「アメリカとのこと以外にもなのね」
「あの辺り台風多いし」
アメリカを襲うことで有名なハリケーンである。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ