第百四十一話 楽園はなくてもその二
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「いやがらせ受けてるし」
「何もなくても受けてるわよね」
「アメリカからね」
「そうだから」
「いつもね」
それこそ常にだ。
「苦労してるよ」
「そうよね」
「もうそれがね」
「あの国の悩みね」
「それで生活も苦しい面が多くて」
アメリカから常に経済制裁そして外交的圧力を受けているのだ、そうした状況下で苦しくない筈がない。
「大変だよ」
「いい場所でも」
「そうだよ、タヒチだってね」
こちらもというのだ。
「やっぱりね」
「何かとあるわね」
「ニューカレドニアもね」
「いいことばかりのところはないわね」
「日本だって」
自分達の国もというのだ。
「いいところ多いけれど」
「困ったところも多いわね」
理虹は焼き餃子をタレで食べつつ話した。
「やっぱり」
「そうだよね」
「一人一人でもね」
理虹はさらに言った。
「やっぱりね」
「悩みとかあるよね」
「ずっと悩みとか苦しみない人っている?」
「いないね」
古田は日本酒を一口飲んでから答えた。
「絶対に」
「そうよね」
「それこそね」
古田はさらに言った。
「人は生きているとね」
「悩みがあるわね」
「苦しむしね」
「憂うわね」
「そうしたことがないなんて」
一切というのだ。
「有り得ないよ、人なら」
「人は絶対に悩んで苦しむのね」
「考えてみたら」
古田はさらに話した。
「キリスト教の楽園って考えないよね」
「あっ、知恵の実を食べて」
理虹も言われて気付いた。
「それでね」
「楽園追放されたね」
「林檎の実をね」
「知恵がないから」
だからだというのだ。
「それでね」
「悩まないのね」
「苦しむことも憂うことも」
「考えること、知恵がないから」
「楽園で」
「人は考えるからなのね」
「悩んだりするよ、そしてそうなるから」
古田も日本酒を飲んだ、それからまた話した。
「楽園にはね」
「いないのね」
「そうじゃないかな」
「そうね」
確かにとだ、理虹も頷いた。
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