第四章
42.帰還、そして
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ゃう時代がくるかもしれないなーと思ってたりもする」
「さすがに買いかぶりではないでしょうか」
「そうかな。たしかに、今の時代で認知されるような強さはないだろうし、認知されない強さは無いのと変わらないのかもしれない。けど、なんだかんだでここまで生き残って、なんだかんだで人も人以外もついてきてる。しかも嫌々じゃなくて、わりと喜んで。それは事実だよね。
おれはもちろん悪魔神官に会ったことはないよ。ただ話を聞く限りでは、人を見る目も物事を見る目も未来を見通す目も持っていた人物という感じがする。彼の目には、フォル君って何気に頼もしくて、安心して教団の未来を任せられる人間として映っていたんじゃないかなあ」
万一そうなら、うれしいですけど――。
意外なべた褒めに、フォルは拭いていない指でそのまま頭を掻いてしまった。サラサラの黒髪に白い仕上げ材がつく。
「うふふ。まあ、そういうことで。そんなフォル君が今の時代でも認知される強さを手に入れれば無敵だと思う。明日からいよいよ破壊神召喚の儀の準備に手をつけるんだよね? 頑張ろうね」
竜王のひ孫から譲り受けた杖で軽く床を鳴らし、タクトは祠の奥へと戻っていく。
その姿を見ながら、白い少女が「なるほど」とつぶやいた。
◇
「なるほど」
自らの城の会議室でサマルトリアの王子・カインから報告を受けると、ローレシア王・ロスはそうつぶやいた。
二人ともテーブルのところには座っていない。窓の前で並び、どちらも外を眺めている。
「やっぱりロスもそんなに意外とは思ってない感じ? ロンダルキアの祠があっち側についてたってのは」
「まあな」
青い剣士はため息まじりにそう言うと、両肘を窓枠にかけ、焦点をはるか遠くに移した。
もちろんここから見えるわけはないのだが、その方角の先にあるのは、白銀の大地・ロンダルキア。
「いよいよ、か……」
今度は下を見る。
そこでは、ローレシア城の兵士たちが大規模な訓練を続けていた。
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