暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第217話:巡り合う策謀
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「「「ジ〜……」」」」」」」
「あ、あはは……まぁ、折角の冬休みだしね?」

 向けられる視線もそうだが、何よりも透から投げかけられたせめてものフォローが逆に心苦しくて、切歌は慌てて雑誌を手放し弁明した。

「ちちち、ちががッ!? こ、これは今隣から渡されてッ!」
「隣ぃ?」

 切歌の隣と言えば颯人とガルドだ。一体何を話しているんだと奏が覗き込んでみると、そこでは…………

「今の時期なら北海道とかがお勧めだぞ」
「北海道か。新鮮で旨い食材が多いと聞いた。一度行ってみたいと思っていたところだが……」
「いやいや、食材も良いけどこの時期と言えばやっぱり雪祭りだろ。雪や氷の彫像とかを見ながらさ――――」

 割と真剣に旅行の算段を考えている颯人とガルドの姿があった。こんな状況で何を真面目に話し合っているのかと思えば、この場で一番能天気な姿を見せている2人に奏は額に青筋を浮かべて音もなく2人の背後に近寄った。

 そして、素早く2人の耳を掴むと渾身の力でそれを思いっ切り引っ張った。

「何真面目に旅行の話してんだお前らはッ!」
「イデデデデデデデデッ!?」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 耳が千切れるのではと言う程の力で引っ張られ、2人の男は話し合いどころではなくなり引っ張られている耳を押さえながら悲鳴を上げる。無理矢理立ち上がらされる形となった2人は、解放されるや否や赤くなった片耳を押さえながら奏に抗議した。

「いきなり何しやがんだ、バ奏ッ!?」
「いっつつ、耳大丈夫かこれ?」
「うっさい馬鹿ッ! 暢気に旅行の計画なんて立ててる場合かよッ! 状況分かってんのかお前らッ!」

 ジェネシスとの戦いもまだ続いていると言うのに、遊んでいる場合は無いと一喝する奏。そんな彼女に対し、ガルドは耳を押さえながらも尚反論する。

「しかしな、カナデ。現状満足に動けない以上、足掻いたってしょうがないだろう。何事においても、待つ事は大事だ。日本の諺にもあるだろう? 武士は寝て待てと……」
「もしかして、武士は食わねど高楊枝、の事か? ガルド、それはただのやせ我慢の事だぞ」
「果報は寝て待て、とも混じってるわね。どっちにしても、この状況には合わない諺だけれど」
「……ホント?」

 またしても素っ頓狂な諺を口にするガルドに、翼とマリアからのツッコミが炸裂する。切歌達の目の前で堂々と間違った諺を口にしてしまった事に、流石のガルドも羞恥に口元を押さえてしまうが、颯人はそんな彼を無視して奏からの言葉に反論した。

「良いじゃねえかよ、軽く夢見るくらい。どっち道俺暫くここから出られないんだし」
「ぁ……」

 そう、他の装者やガルド達と違い、颯人に対しては明確に外出禁止令が出された。それもこれも、全ては自
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