暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第217話:巡り合う策謀
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ぎる。まさか……」

 よく言えば根が真面目、悪い言い方をすればどちらかと言うと融通が利かない翼でさえ感じる不信感。特に翼は、政府の裏側にほど近い人間関係である為、嫌でも”もしや”と言う事を想像してしまい鉛を飲み込んだような顔になった。

 そんな翼の様子に気付いたマリアが、何か心当たりがあるのではと思いつい問い掛けてしまう。

「翼? もしかして何か心当たりでもあるの?」
「あ、いや……それは、その……」

 思わず口から零れてしまった疑いの言葉を聞かれ、珍しく翼が激しく視線を泳がせた。仲間を想う気持ちと、身内を信じたい気持ちの板挟みに言葉を詰まらせる翼に、マリアと奏、そして響の視線が突き刺さる。まるで自分を責めているのではと錯覚するような視線に、翼は俯き不明瞭な言葉を口にするだけに留めた。

「は、ハッキリとは、何も言えない……すまない。奏、ゴメン……私は……」

 翼は特に、奏に対しては後ろめたさを感じずにはいられなかった。今回の一件で颯人は本部から出る事を禁じられた上に、いざと言う時の為の指輪を失う事となった。もし彼女が考え得る限りの最悪の事態が現実のものとなった場合、その責は身内である自身にも及ぶ。本当にそうなった時、自分は仲間達にどんな顔を向ければいいのかと翼は思い悩まずにはいられなかったのだ。

 瞳の奥に怯えを見せる翼の姿に、奏は溜め息と共に小さく肩を竦めると縮こまった翼の頭を乱暴に撫でた。

「わっ! か、奏……?」
「気にすんなって。翼がそんなに悩む事じゃないよ。アタシらは翼が何かを言えるようになるまで待つし、何が起きても翼を責めない。だから安心しろって」

 そう言ってニカッと笑う奏に対し、翼はほんの少しだが肩が軽くなったような気がして先程よりは表情に余裕が出来た。

「うん……ありがとう、奏」
「あぁ」

 まだ本調子とは言い難いが、少しは翼の表情がマシになった事に奏達も安堵する。

 その一方で、調は事実上の休暇を言い渡された現状に悩んでいた。

「休息をとるのは悪い事じゃないと思うけど……」

 何もすることが無い以上、彼女達に出来る事はいざと言う時に迅速に動けるようコンディションを維持する事。その一環として休息をとる事は悪い事ではないと頭では分かっているのだが、何一つ事態が好転していない今、休めと言われて呑気に休んでいられるほど彼女は気楽ではなかった。

「だからって、はしゃぐようなお気楽者は、ここには誰1人居ないのデスッ!」

 勇ましくそう口にする切歌であったが、そんな彼女の手には冬旅行と書かれた雑誌が握られておりそれを机にパンパンと叩きつけている。何一つ説得力の無いその姿に、調だけでなく装者全員の冷えた視線と、透の生温い視線が向けられた。

「「「「
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