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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第217話:巡り合う策謀
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う。生憎とここから出す訳にはいきませんが、私があなたの敵ではない事だけは知っておいてください」

 アリスはそう言ってキャロルを伴って部屋から出た。ミラアルクに対しては手錠などの拘束も一切行わず、ただ部屋を施錠するだけに留めていた。
 あまりにも無防備。この程度の施設であれば、自分なら力尽くでブチ破って逃走できる自信があったミラアルクだが、しかし今はパナケイア流体が淀んできており力を発揮する事が出来ない。力を使いさえしなければ淀みは緩やかになるので、今すぐ体がどうこうなる事は無いのでミラアルクは仕方なく大人しくすることにした。

「クソ……」

 場所は治療室だが、扱いは独房に近いその部屋のベッドに乱暴に横になる。消耗した体に、治療室のベッドの柔らかさがありがたかった。独房の硬いベッドでは、休みたくても休めなかっただろう。

 久し振りの柔らかく温かなベッドの感触に、ミラアルクは不意に瞼が重くなるのを感じた。悩みも何もかもを忘れて、降りかかった微睡に身を委ねて意識を手放す。

 静かに寝息を立て始めるミラアルク。その首筋で、何かが蠢いているのだが、その事に気付く者は誰も居なかった。




***




 発令所での交渉を終えて、颯人達は一応は解散させられる事となった。本格的に査察が決まり、ここから先は弦十郎達組織の上の者達の時間となる。そんな場所に前線要員である彼らはハッキリ言って邪魔だ。それ故彼らは、特別警戒待機と言う名目で発令所から追い出されていた。何もすることが無い颯人達は、取り合えずレストルームに集まり互いに愚痴をこぼし合っていた。

「一部を除く関係者に特別警戒待機って……」
「ものは言い様って奴だッ! とどのつまりは、査察の邪魔をするなって事だろ。特に、そこのペテン師は」

 長机に端からエルフナイン・透・クリス・翼・奏・マリア・響・調・切歌・颯人・ガルドの順に並んで座る一行。珍しく心底不満そうに愚痴を零す響に対し、クリスは切歌の向こう側に居る颯人をジト目で睨みながら答えた。見ると颯人は隣に座るガルドと何やら話している。一体何を話しているのかは分からないが、こういう時の彼がロクでもない事を考えているだろう事はもうクリスも容易に想像できた。

 今回の出来事に対して、不満を抱いているのは当然ながら響やクリスだけではなかった。奏とマリア、それに翼までもが、今回の日本政府の動きに対し違和感とも不信感ともつかない印象を抱いていた。

「クソ、あのオッサンのむかつく顔。やっぱり一発ぶん殴っておくべきだったか」
「気に入らないのはあの男の顔だけじゃないわ。今回の急な決定は全てが気に入らないわ」
「……正式な決定であるとは信じたいが、しかし……今回の事は明らかに何かがおかしい。幾ら何でも性急す
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